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呼吸器感染症の疫学調査アプリ「かぜレコ」を公開します

2021年1月14日

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(略称:NCGM)は、呼吸器感染症の疫学調査を目的とした研究用のiPhoneアプリ「かぜレコ」をApp Storeに公開いたします。かぜレコの調査対象は、風邪症候群、新型コロナウイルス、インフルエンザなどを含む呼吸器感染症全般です。

概 要

本アプリは、Appleが医学研究アプリ向けに無償提供しているオープンソースフレームワークであるResearchKit®を利用し、後述の研究資金支援を受けて開発いたしました。一般的に熱、咳、倦怠感、咽頭痛、鼻炎などの症状を呈する呼吸器感染症を広く調査することを目的としたアプリであり、現在世界的に問題となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も調査対象としています。

アプリを利用し、データを入力することで、風邪・インフルエンザ・COVID-19などと診断される以前の有症状者の調査に協力することができます。さらには、有症状者の分布を地図上で見ることができたり、都道府県などにおける有症状者の数の推移を見ることができます。

開発の背景とねらい

急性の呼吸器感染症は、年齢や性別に関係なく最も頻度の高い疾患です。風邪症候群は急性の呼吸器感染症を総称した呼称であり、一般的な症状は発熱、咳、鼻炎、咽頭痛、倦怠感、食欲不振などですが、症状には個人差やバラつきが大きく、特異的な症状がほとんどありません。重症度もバラつきが大きいことが知られており、症状が強い場合は日常生活への影響が生じますが、多くの軽症例では仕事や学業など日常生活の継続が可能です。これらの呼吸器感染症の原因ウイルスは、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、コロナウイルス(新型ではないもの)など様々なウイルスが知られています。しかしながら、家庭内や学校・職場などの一定の環境や地域で似た症状が多数報告されることもあり、一定の流行があることが考えられます。

このように、風邪を含む急性の呼吸器感染症は症状や重症度にばらつきが大きく、様々なウイルスが関与しており、感染経路も複雑であることから、疫学的な調査が難しく、十分に解明されていない点が多くあります。

本研究では、iPhoneアプリを介して、一般の利用者の方から症状の有無や内容について入力してもらい、呼吸器感染症の調査を行うことを目的としています。iPhoneを利用して位置情報も収集することで、風邪の発生から拡大・拡散するまでを地図上にマッピングできると考えています。また、気象情報と重ねて解析することで、風邪が発生しやすい気象条件や流行・拡大しやすい気象条件を明らかにしたいと考えています。さらに、呼吸器感染症には新型コロナウイルス感染症も含まれるため、新型コロナウイルス感染症であったが自然軽快し受診しなかった軽症者の情報を収集したり、クラスターなどを検知できる可能性があると考えています。

この研究で得られた成果を基に、将来的には人間の行動や気象条件、感染情報などを基にして、感染拡大の予測などを行うことを目指しています。

本アプリに関するさらに詳しい情報は、NCGM国際感染症センターのホームページをご覧ください 。
http://dcc.ncgm.go.jp/information/pdf/kazereco.html

研究資金について

本アプリは、以下の研究資金により開発いたしました。

  • 公益財団法人鈴木謙三記念医科学応用財団
  • シオノギヘルスケア株式会社
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構 未来社会創造事業

画面イメージ

呼吸器感染症の疫学調査アプリ「かぜレコ」

プレスリリースに関するお問い合わせ先

研究に関するお問合せ先

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(NCGM)
国際感染症センター
大曲 貴夫、寺田 麻里
電話:03-3202-7181
E-mail: kazereco@hosp.ncgm.go.jp
〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1

取材に関するお問合せ先

国立国際医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
広報係長:西澤 樹生(にしざわ たつき)
電話:03-3202-7181(代表) <9:00~17:00>
E-mail:press@hosp.ncgm.go.jp