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小児におけるCOVID-19感染後の罹患後症状の発生率とリスク要因の検討:一般住民におけるケースコントロール研究

2024年4月18日
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター

研究成果のポイント

本研究では、大阪府八尾市において2021年3月から2022年4月(いわゆる新型コロナウイルス感染症の第4~6波)に新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)に罹患しHER-SYSに登録された5歳~17歳までの子ども1,800人の罹患後症状※をアンケート調査で評価し、性別・年齢等をマッチさせた非感染者1341人(対照群)と比較しました。その結果は以下の通りです。

  • 感染者における罹患後症状の頻度は6.3%と、非感染者での2か月以上続く同様の症状の頻度と比べて約3倍高いことがわかりました。
  • 罹患後症状がある児においては、感染から半年以上経過後も10.5%が深刻な生活への支障があると回答しました。
  • 感染前に2回以上COVID-19ワクチンを接種していた児においては、罹患後症状の割合が半分でした。

この結果は、オミクロン株流行期の軽症者を中心とする小児集団においても、COVID-19罹患が長引く症状の頻度を高めること、また、感染前のCOVID-19ワクチン接種がこれに対して抑制的に働く可能性を示唆しています。

※罹患後症状:本研究では、はじめてのCOVID-19罹患後に出現し、感染から3か月時点で有し、2か月以上続く症状と定義。

背景

小児におけるCOVID-19罹患後の健康状態、特に罹患後症状の頻度や関連要因については世界的に報告が少なく、特に非感染者との比較は限られている状況がありました。

概要

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(略称:NCGM)の国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センターの磯博康センター長、細澤麻里子主任研究員らの研究グループは、大阪府八尾市保健所と共同で小児におけるCOVID-19感染による罹患後症状の頻度や関連要因を明らかにするために、大阪府八尾市在住の2021年3月~2022年4月までにHER-SYSに登録された5~17歳までの感染者と性別・年齢等をマッチさせた非感染者を対象とした住民調査を実施しました。

結果

調査は2022年11月にウェブアンケート方式で実施し、3,141人(1,800人の感染者、平均年齢:10.4歳;1,341人の非感染者、平均年齢10.5歳;回答率38.5%)が回答しました。感染者は、初回感染から平均273日経過し、COVID-19の重症度は1,708人(94.9%)において軽症でした。  感染者における罹患後症状の頻度は6.3%と非感染者における2か月以上続く症状の頻度2.2%よりも約3倍高い結果となりました(性・年齢調整オッズ比:3.15、95%信頼区間:2.08~4.77)。また、罹患後症状がある児においては、感染から半年以上経過後も53.6%が何らかの生活への支障を、10.5%が深刻な支障があると回答しました。さらに、年齢が高い児、アレルギー性疾患や自律神経系疾患の既往がある児において罹患後症状の頻度が高く、また、感染前に2回以上COVID-19ワクチンを接種していた児においては、罹患後症状の頻度が半分でした(性・年齢調整オッズ比:0.53、95%信頼区間:0.29~0.96)。

問合せ先

研究に関するお問い合せ

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター
研究員 細澤 麻里子
電話:03-6228-0562

報道に関するお問い合せ

国立国際医療研究センター(NCGM)企画戦略局 広報企画室
Tel:03-3202-7181
E-mail:press(at)hosp.ncgm.go.jp
※(at)は「@」に置換してください。
〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1