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大杉満・糖尿病情報センター長が、WHOの糖尿病技術諮問委員(TAG-D)に就任しました

2021年10月1日

国立研究開発法人国立国際医療研究センター

大杉満先生
    大杉満・糖尿病情報センター長


2021年8月、WHOの専門家会議である、糖尿病に関する技術諮問グループ(Technical Advisory Group on Diabetes:TAG-D)の委員として、大杉満・糖尿病情報センター長が選出され、着任しました。

WHOの提案は、世界規模のものになるのですが、各国の経済状況や医療供給体制により糖尿病をはじめとする非感染症疾患(NCD)の診療体制は大きく異なります。

それでも、WHOが糖尿病に関し、克服すべきと考えている課題は、以下のとおりです。

  • 予防法の啓発や、スクリーニング検査が普及しておらず、糖尿病が未診断の者が多い。
  • インスリン注射など、有効な治療が様々な理由で、十分に活用されていない。
  • そのため、下肢切断や失明、末期腎不全などの重大な合併症が起こりえる。

こうした事態を防ぐために、WHOとしては各国の現状調査を元に、糖尿病の予防法や治療法を普及させ、糖尿病の発症を予防することと、発症しても、どの国にいても質の保たれた治療を受けられることを目標に掲げています。

世界の医療政策を主導するポストに就いた大杉糖尿病情報センター長は、次のように語っています。
「今回発足したTAG-Dは世界中から選出された12人の委員で構成される糖尿病に関する委員会です。各国での調査を元に、糖尿病の予防に関する啓発や施策、糖尿病発症後にも有効な治療をどの国であっても受けられるようにする施策をWHOに提言することが目的です。
現在、初会合を控えている段階ですが、世界中から地域や専門性に富んだ委員が選出されており、私はアジア太平洋地区から選ばれた3人の委員の1人です。アジア太平洋地域は、人口の多さとともに、人口あたりの糖尿病発症率も高いと考えられており、また国の経済状況や医療供給体制が多様ですので、この委員会で共有される情報は、我が国の今後の糖尿病に対する医療政策にも役立つと考えます。
また、日本は皆保険制度で医療アクセスがよく、糖尿病診療に関しても比較的安価に供給できていると考えられますが、高齢者が増加し耐糖能異常を持つものが増えていることと、中年以降の男性では肥満を背景にした代謝性疾患が増えていることや、それらに対する政府・自治体や学会等団体の取り組みをTAG-Dで共有したいと考えています。」

8月の就任以来、WHOが2022年にまとめようとしている「糖尿病と肥満に対する対策提言」のパブリックコメントを大杉糖尿病情報センター長を通じて、国内の関係学会や省庁に対し、問い合わせを行いました。
また、9月29日と30日には、第一回の会合が開催され、前述の「糖尿病と肥満に対する対策提言」を世界各国で発出し、具体的な達成目標を立てるときに、どのような障害が予想されるか、などについて、活発な議論が交わされました。