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放射線ひばく

核医学検査(シンチ検査、PET検査)と放射線ひばく(被曝)

人は普通に生活していても、宇宙線や大地などから放射線を浴び、これを自然放射線といいます。ひばく線量は場所により異なり、日本も含めた世界の平均値は年間2.4ミリシーベルト、アメリカのデンバーでは4、ブラジルの最も高いところで10といわれています。また、宇宙線の強さは、空気が薄くなる上空では高くなり、東京とニューヨークを飛行機で一回往復すると0.2ミリシーベルトひばくするといわれています。

シンチ検査、PET検査どちらも共通するのは、放射性物質でしるしをつけた(標識)薬物を注射し、薬物が体の中でどのように分布したかを、しるしとなる放射性物質から出てくる放射線を検出して画像を作ることです。放射性薬剤を注射するため、放射線ひばくがありますが、PETで使われるフッ素18 (18F と書きます)の半減期、放射能が半分に減る放射線物質の寿命は110分、炭素11 (11C と書きます)の半減期は20分と大変短いのが特徴です。このため、ひばく線量も低く抑えられ、全身のひばく線量は2.2~3.5ミリシーベルトといわれています。つまり1年間の自然放射線量と同等から2倍程度です。PET-CT検査ではCTによるひばくが加算され、2~3倍になりますが、それでも人体には全く害のない、自然放射線レベルのひばく線量です。他の検査、胃の透視やCT検査などとも、大差ありません。(図1)

核医学検査(シンチ検査、PET検査)と放射線ひばく(被曝)

いくら害が無いといっても、放射線ひばくは少なければ少ないにこしたことはありません。そこで利益とそれに見合う危険(リスク)という考え方があります。PET-CT検査により得られる診断情報は非常に精度が高く、病気の状態を正しく診断できます。また全身を容易に一度に調べることが出来るため、CTや他の検査では見つけられなかった予想外の病気を見つけることが時々あります。そして、正確な診断情報を用いてこそ、最適な治療方針を決めることができ、最善の治療効果が期待できます。PET-CTによる診断情報は、現代の高度に発達し、さまざまな選択肢のあるがんの治療を上手に使いこなすために、欠かせないものになってきています。このような利益は、大多数の人で自然放射線の2~3倍程度のひばくのリスクをはるかに上回ると考えられます。心臓や他の病気でも同様な考え方ができます。

核医学検査(シンチ検査、PET検査)の副作用

CT検査やMRI検査で使われる造影剤とはちがい、PET検査・シンチ検査で使われる放射性薬剤の薬物としての量は極めて微量で、まったく人体に影響を及ぼしません。注射時にも熱感などはなく、アレルギー反応や副作用はまったくといってよいほどありません。ただし、迷走神経反射といって、注射の針を刺すだけで気分が悪くなり失神したりする方がまれにいます。これは予測することが難しいのですが、重症になることはありません。

アルコールに過敏な方がいます。あらかじめ申し出ていただければ、アルコール綿による消毒を別の薬剤に変えることで、過敏症を防ぐことが出来ます。また、特殊な検査で、アルコールが含まれた薬剤を注射する検査がありますが、このときは詳しい問診をおこないますので心配はいりません。