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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についてNCGMが発表した学術論文

NCGMはCOVID-19対応にあたるほか、学術論文を発表することによって、COVID-19対応を通じて得た経験や研究成果を、人類共有の財産として蓄積・継承してまいります。このページでは、NCGM職員が筆頭著者または責任著者である掲載済み論文について紹介しています(editorialを除く)。
2020年10月22日現在、48報を掲載しています。

▼2020年10月掲載

重症度別のCOVID-19患者病室の環境表面と空気汚染<NEW>

重症度別にCOVID-19患者病室の環境表面および空気汚染を調査し、SARS-CoV-2による環境汚染は重症度に伴って増加しないことが明らかになった。SARS-CoV-2が検出されたのは、2人の重症患者が共有する聴診器の表面、人工呼吸器の挿管チューブ、そのケアをしている看護師のガウンのみであった。これらの結果から、COVID-19患者の周囲の環境や医療機器に汚染が発生する可能性があることから、環境や医療機器の適切な清掃、PPEの適切な着脱が必要であることが示唆された。本研究ではSARS-CoV-2による空気汚染は確認されなかったが、陰圧環境が影響していた可能性があり、さらなる研究が必要である。

Nakamura K, Morioka S, Kutsuna S, Iida S, Suzuki T, Kinoshita N, Suzuki T, Sugiki Y, Okuhama A, Kanda K, Wakimoto Y, Ujiie M, Yamamoto K, Ishikane M, Moriyama Y, Ota M, Nakamoto T, Ide S, Nomoto H, Akiyama Y, Miyazato Y, Hayakawa K, Saito S, Ohmagari N.
  Environmental surface and air contamination in severeacute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) patient rooms by disease severity.
Infection Prevention in Practice. 2020.
https://doi.org/10.1016/j.infpip.2020.100098
(2020/10/13)

東京の『夜の街』における新型コロナウイルス感染症:2020年3-4月<NEW>

2020年3月9日から4月26日にNCGMの発熱相談外来および感染症外来でSARS-CoV-2のPCR検査を受けた者を対象に、疫学および臨床情報を解析した。新型コロナウイルス感染症の夜の街クラスターの特徴を記述し、夜の街への曝露とPCR検査結果の関連を検討することを目的とした。1,517人が研究に含まれ、196人(12.9%)が夜の街群に分類された。傾向スコアマッチングを行った結果、PCR陽性率は夜の街群で63.8%、非夜の街群で23.0%と、夜の街群で有意に高かった。同産業における新型コロナウイルス感染症の感染リスクを軽減する対策が必要である。

Takaya S, Tsuzuki S, Hayakawa K, Kawashima A, Okuhama A, Kanda K, Suzuki T, Akiyama Y, Miyazato Y, Ide S, Nakamura K, Nomoto H, Nakamoto T, Hikida S, Tanuma J, Ohara K, Ito T, Baba T, Yamamoto K, Ujiie M, Saito S, Morioka S, Ishikane M, Kinoshita N, Kutsuna S, Ohmagari N. 
  Nightlife clusters of coronavirus disease in Tokyo between March and April 2020.  
Epidemiol Infect. 2020. 
https://doi.org/10.1017/S0950268820002496
(2020/10/13)

▼2020年9月掲載

上海の小中学生におけるCOVID-19流行に伴う学校閉鎖中の抑うつ症状

中国上海の小中学生2,427例を対象に、COVID-19流行による学校閉鎖が行われる直前と閉鎖1~2ヵ月間後に抑うつ症状を調査した。予想に反し、抑うつ症状がある割合は学校閉鎖中にむしろ減っていた。学校閉鎖に伴う生活上の変化として、「家に居られる」「親と一緒に居られる」「自分のやりたいことができる」ことに調査に参加した小中学生の7割以上が満足していた。上海の小中学校において、Covid-19流行に伴う学校閉鎖後の心の健康状態の悪化は認められなかった。学校閉鎖の長期的な影響についてさらなる研究が必要である。

Xiang M, Yamamoto S, Mizoue T.
 Depressive symptoms in students during school closure due to COVID-19 in Shanghai. 
Psychiatry Clin Neurosci. 2020.
https://doi.org/10.1111/pcn.13161
(2020/9/30)

日本におけるCOVID-19入院患者の臨床疫学的特徴:COVID-19 REGISTRY JAPAN初報

COVID-19 REGISTRY JAPAN(COVI-REGI)は、国立国際医療研究センターが中心となって立ち上げたCOVID-19の症例データベースである。227の医療施設から登録された2638例を検討の対象とした。年齢中央値は56歳(四分位範囲[IQR]:40~71歳)で、症例の半数以上が男性であった。症例の60%近くがCOVID-19確定例または疑い例と濃厚接触歴があった。併存疾患は高血圧(15%)と合併症を伴わない糖尿病(14.2%)が最も多かった。入院中経過は、酸素非投与患者(61.6%)が最多で、次いで酸素投与患者(29.9%)、侵襲的機械的換気またはECMOを使用した患者(8.5%)であった。66.9%の患者が自宅退院し、7.5%が入院中に死亡した。欧米諸国の報告と比し、併存疾患が少なく、死亡率が低い傾向にあることがわかった。

Matsunaga N, Hayakawa K, Terada M, Ohtsu H, Asai Y, Tsuzuki S, Suzuki S, Toyoda A, Suzuki K, Endo M, Fujii N, Suzuki M, Saito Sho, Uemura Y, Shibata T, Kondo M, Izumi K, Terada-Hirashima J, Mikami A, Sugiura W, Ohmagari N. 
  Clinical epidemiology of hospitalized patients with COVID-19 in Japan: Report of the COVID-19 REGISTRY JAPAN. 
Clinical Infectious Diseases. 2020. ciaa1470.
https://doi.org/10.1093/cid/ciaa1470
(2020/9/28)

軽症・中等症・重症の新型コロナウイルス感染症患者の抗体価の推移<NEW>

本研究では、重症度の異なる81人のCOVID-19患者(軽症者46人、中等症者19人、重傷者16人)の血液を経時的に収集し、新型コロナウイルスのスパイク蛋白の抗体を測定し推移を解析した。その結果、軽症者や中等症者と比べると、重症者は抗体価が高い傾向があることを示した一方、中等症者や重傷者も発症から60日以降は減衰する傾向があることも示した。 これらの結果は、無症候性感染者や軽症者だけでなく、中等症・重症患者も長期的には抗体価が低下していくことを示唆している。また、この研究結果から、回復者の血漿を採取すべき適切なタイミング、血漿採取に適した患者が明らかとなり、回復者血漿の臨床研究がより効率的に行われることが期待される。

Kutsuna S, Asai Y, Matsunaga A.
  Loss of Anti-SARS-CoV-2 Antibodies in Mild Covid-19.
N Engl J Med. 2020.
https://doi.org/10.1056/NEJMc2027051
(2020/9/23)

COVID-19後の公衆衛生対応の強化に向けて 米国 CDC の概説と日本版 CDC 構想への論点整理

COVID-19の拡大を受け、日本版CDC等の創設について議論されているが、米国CDCの広範なミッションや機能に基づいた議論には至っていない。本稿では、収集した情報をもとに米国CDCについて概説し、日本版CDCを構想する上で検討するべき論点を整理した。米国CDCは「健康、安全、セキュリティの脅威から米国を守る」ことをミッションとし、実地疫学、緊急準備と対応、サーベイランス、検査・調査法の開発、情報発信、人材育成、検疫、予算配分などを業務としている。日本版CDCを構想する際には、対象疾患や課題のスコープ、組織体制、ミッション、科学的中立性の担保、人材育成のあり方などについて議論する必要がある。

杉山 雄大, 今井健二郎, 東 尚弘, 冨尾 淳, 田宮菜奈子
  COVID-19後の公衆衛生対応の強化に向けて:米国 CDC の概説と日本版 CDC 構想への論点整理
日本公衛誌. 2020. 67(9): 567-572.
https://doi.org/10.11236/jph.20-069
(2020/9/15)

新型コロナウイルス感染患者の重症化を予測する血液検査マーカーの開発

COVID-19では、軽症であったヒトが急激に重症化するという特徴がある。感染初期の軽症時に将来の重症化を予測できれば、重点的な治療が必要な人に注力した対応が可能となり、結果として重症化や死亡を効率よく防ぐことが出来るといえる。今回の研究では、入院患者の血液を使って、重症化前にその兆候を捉えることが出来る血液検査マーカーの探索を実施した。その結果、CCL17、インターフェロンラムダ3、IP-10、IL-6、CXCL9が、その有用な因子であると考えられた。特に、CCL17は、新型コロナウイルス感染が確認された早期から、将来の重症者で低値を取ることがわかり、COVID-19に特徴的な性質であった。今後、複数の施設で協力し、多数患者での検証を進める。

Sugiyama M, Kinoshita N, Ide S, Nomoto H, Nakamoto T, Saito S, Ishikane M, Kutsuna S, Hayakawa K, Hashimoto M, Suzuki M, Izumi S, Hojo M, Tsuchiya K, Gatanaga H, Takasaki J, Usami M, Kano T, Yanai H, Nishida N, Kanto T, Sugiyama H, Ohmagari N, Mizokami M.
  Serum CCL17 level becomes a predictive marker to distinguish between mild/moderate and severe/critical disease in patients with COVID-19.
Gene. 2020;766:145145.
https://doi.org/10.1111/pcn.13161
(2020/9/15)

COVID-19を通じて明らかになったグローバルヘルス研究開発分野の課題

COVID-19の世界的流行は、グローバル化した世界の脆弱性を浮き彫りにした。研究開発(R&D)もその例外ではなく、市場主導のインセンティブが乏しいため感染症分野は無視されてきた。しかし、現在のCOVID-19危機と将来に起こりうる類似の人類に対する脅威に対処するために、新たな取り組みが始まっている。本論文ではグローバルヘルスR&D分野の状況を考察し、主要な感染症(HIV/AIDS、結核、マラリア)を除き感染症に対する資金調達が不足していることを示した。また、COVID-19流行を発端とした取り組みと、開発からアクセスまでを一気通貫した新たな取り組みについて論じた。最後に、市場の失敗に対応したR&Dのために、政府、産業界、国際慈善団体との連携による新たな資金調達モデル(GHITモデル)を紹介し、今後アクセスを高めるための戦略を提示した。

Nakatani H, Katsuno K, Urabe H.
 Global health landscape challenges triggered by COVID-19.
Inflamm Regen. 2020;40:34.
https://doi.org/10.1186/s41232-020-00144-5
(2020/9/14)

医療従事者が適切に個人防護具を使用すると、新型コロナウイルスの感染を防ぐことができる<NEW>

新型コロナウイルス感染症の患者に直接対応する医療従事者49名(看護師31名、医師15名、そのほかの職種3名)を対象に前向きコホート研究を行い、2週間毎に血清抗体価を測定した。ELISA法では7名の血清で抗体が陽性と判定されたが、中和抗体法では陰性だったことから、いずれも偽陽性と判断した。この結果から、参加者全員が新型コロナウイルスには感染していなかったことが判明した。この研究により、個人防護具を適切に使用すると医療従事者の新型コロナウイルス感染を防ぐことができると示された。医療従事者が安全に職務を全うできるように、個人防護具が安定供給されるような体制を整備することが必要である。

Suzuki T, Hayakawa K, Ainai A, Iwata-Yoshikawa N, Sano K, Nagata N, Suzuki T, Wakimoto Y, Akiyama Y, Miyazato Y, Nakamura K, Ide S, Nomoto H, Nakamoto T, Ota M, Moriyama Y, Sugiki Y, Saito S, Morioka S, Ishikane M , Kinoshita N, Kutsuna S, Ohmagari N.
  Effectiveness of personal protective equipment in preventing severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 infection among healthcare workers.
J Infect Chemother. 2020.
https://doi.org/10.1016/j.jiac.2020.09.006
(2020/9/9)

▼2020年8月掲載

▼2020年7月掲載

▼2020年6月掲載

▼2020年5月掲載

▼2020年4月掲載

▼2020年3月掲載