主な疾患と診療実績
肺 癌
わが国の悪性腫瘍で死亡原因の第1位は肺癌です。2005年の肺癌死亡者数は約6万2千人で、今後も増加する見込みです。肺癌の治療方法には、手術、化学療法(抗癌剤治療)、放射線治療がありますが、肺癌の種類(組織型)や進行の程度(病期)によって最適な治療法を選択します。治療法に関しては、呼吸器科、呼吸器外科、放射線治療部によるキャンサーボード(合同診療会議)で討論し治療方針を決めています。症状を伴う患者様については治療早期から苦痛の軽減も重視し、コントロールが難しい場合は緩和ケアチームと密接に連携をとり苦痛の緩和に心がけています。 近年、治療法の進歩に伴い生存期間の延長がもたらされていますが、肺癌は発見時に既に進行している場合が多く、残念ながら根治(完全に治ること)の割合はまだまだ低いと言わざるを得ません。
近年、多くの抗癌剤が開発されてきており、どの種類の肺癌にどの抗癌剤が最も効果的であるかについてわかってきました。そのため、それぞれの患者様に対して最適な抗癌剤を選択できるか(個別化治療)が進行癌の患者様の生存期間を大きく左右することになります。当科では2人のがん薬物療法専門医が中心となり、カンファレンスを通じ1人1人の患者様にとっての最適な治療法を模索しています。
診療実績
2008年1年間の肺癌関連の入院は延べ649例で、そのうち新患は136例でした。当科では、肺癌を疑った場合、1週間前後の短期入院で集中的に診断、全身検索を行い、短期間で治療方針の決定を行っています。癌の診断、再発の判定に非常に有用であるPET検査も可能です。肺癌の診断には気管支鏡検査が必要となります。当科では年間600例以上の気管支鏡検査を行っていますが、最新の手法を用いて安全かつ確実な検査を目指しています。とくに、近年では分子標的薬の効果予測のために癌細胞の上皮成長因子受容体の遺伝子変異検査が欠かせなくなっています。そのためには気管支鏡での生検診断が重要ですが、当センターでの生検診断率は80%を超えています。また気管支鏡検査中は静脈麻酔薬を使用し、患者様の苦痛軽減に努めています。
2008年度の原発性肺癌の内訳は、非小細胞癌 82%(腺癌 57%、扁平上皮癌 17%、大細胞癌 5%、低分化癌 3%)、 小細胞癌 16%、その他 2%でした。当センターは総合病院ですので、合併症を有する治療の難しい症例が多いという特徴がありますが、合併症のある患者様については他科と十分連携し、それぞれの患者様に対する適切な抗癌療法を実施しています。2000年から2005年の5年間に内科治療を行った進行肺癌の2年生存率は全体で30%と、合併症を有する患者の割合が多いにも関わらず、癌専門病院と比較して遜色ない成績をあげています。
外来化学療法(外来で抗癌剤を点滴する方法)は患者様の希望、全身状態、副作用を考慮して行っていますが、まずは患者様の安全性を重視し、短期入院を中心とする化学療法を行っています。当科では標準療法(世界的に効果がはっきりと証明された治療法)を中心に行っていますが、場合によっては臨床試験も行っています。当科は、多施設との共同研究(JCOG:日本臨床腫瘍研究グループ)に参加している施設でもあり、臨床試験を含めた新しい治療にも積極的に取り組んでいます。
08年度 肺癌診療実績

