レジデントの声(1)
市村康典
私は、当院での2年間の初期研修の後、呼吸器科で後期研修を3年間受けてきました。呼吸器科は、院内でも最も多くの入院患者様を担当させて頂いており、いくつかの病棟に分かれて、診療を行っております。入院される方は、外来(救急外来を含む)を経て入院される方から、他の医療機関からご紹介いただく方まで様々であり、都内だけではなく近隣の県からの方も多くいらっしゃいます。帰宅に際して、その方々にあった医療を継続できるように考えることも必要となってきます。この3年間は基本的に病棟での勤務を中心に行ってきましたが、受け持つ疾患も多岐にわたり、最近増えつつある肺癌をはじめ、呼吸器の一般的な疾患である肺炎、気管支喘息、COPD、間質性肺炎などの方を幅広く診させていただきました。また、当院は都内でも少ない結核病棟を有しているため、呼吸器科医として学ぶべき結核の症例も沢山担当いたしました。その中で、稀少な疾患も経験することができ、世界でも十数例の報告しかない疾患にも巡り合いました。これも、当科では病理部や呼吸器外科などとの定期的な会議を行い、診断・治療については妥協しない態度で望んでいることも大きく影響しているかと思います。
はじめの1年は、上記の様々な疾患についての理解を深め、身につけるべき手技を習得し、日々の診療を行うことで過ぎていきました。院内でも有数の医師が呼吸器科には在籍しており、同僚のレジデントや多くの知識・経験を持つ技官の先生に囲まれ、不明な点や難渋している点はアドバイスを受けながら過ごすことができたのも、自分にとって重要なことでした。また、院内のどの科よりも密に定期的に行われるカンファレンスが、皆で問題点を共有する場となり、そこで真剣になって行われる議論が自分の理解をさらに深めていくことにつながっていきました。
2年目になると、より多くの知識・手技を習得していくと同時に、色々な学会・研究会での発表を数多くするようになりました。技官の先生方からの暖かい指導があり、多岐にわたる分野で、貴重な症例報告からデータ解析、臨床試験の設計などを含めて行っていきました。これも、当院においては、多岐にわたる疾患を経験し、その知識を豊富に持つ先生方がいらっしゃることから可能なことであり、環境は非常に恵まれていました。
3年目には、自分の知見を深めるために他科への研修をさせていただきました。他の診療科で臨床技術を磨いたり、なかなかまとまって学ぶことの少ない統計技術などを研究所にて学んだりと、人によって選択は様々ではありますが、私は当センター内にある国際医療協力局での3ヶ月の国際医療協力レジデント研修を受けました。当センターの1つの特徴である国際医療協力について、実際に他国での研修を含めて学んでいくものです。私は2ヶ月間、世界保健機関(WHO):本部と東地中海地域事務局で研修を行い、結核対策について現場レベルから国際機関レベルまで学び、公衆衛生的な観点から医療を眺める、自分の視野を広げる貴重な機会となりました。
また、上記以外に、2年目からは外来を担当し病棟とは違った知識を身につけることが可能でした。栄養サポートチームの一員として、特に呼吸器領域の症例では低下しやすい栄養状態を改善するための方法につき、栄養師・薬剤師とともに検討していくことは、一人一人の方を全身で考えていくことに必要なことでした。振り返ると、この3年間で受けた研修は、非常に充実したものであり、今後呼吸器科医として歩んでいくのに、素晴らしい土台を築けた、そのような期間でした。何も知らない自分を、ここまで成長させて頂いたこの環境に、心から感謝しております。呼吸器科医として今後を希望される方には、当センターでの研修を是非検討していただきたいと思います。
