経皮的椎体形成術とは、骨粗鬆症や悪性腫瘍の椎体転移に伴う圧迫骨折による強い疼痛の緩和を目的として経皮的に病変部に骨セメントを注入するものです。侵襲が少なく即効性のある治療法として1980年代後半より欧米中心に行われ、わが国でも90年代後半から一部の施設で行われています。現在欧米では広く一般臨床で行われていますが、わが国では保険診療の対象となっていないこともあって施行している施設数は限られています。しかし、上述のように患者へのメリットが多い治療法であることから、当科においても本治療法を積極的に施行しています。
腹臥位の状態で正面と側面の2方向の透視下に、背部より圧迫骨折部や溶骨性病変部まで経皮的に骨生検針を1本或いは2本刺入します。次いで、骨セメントを病変部に慎重に注入します。骨セメントには視認性を高めるために滅菌バリウムを混和しています。骨セメントの固化を約20分間待った後、生検針を抜去します。その後、4時間ベッド上安静とし、以降は歩行可としています。
骨粗鬆症に伴う圧迫骨折においては、ベッド上安静と患部固定のうえ、疼痛に対して投薬コントロールを行うというのが一般的で、この場合ベッド上安静は3か月以上におよび、高齢患者では長期入院に伴う筋力低下や痴呆症状の出現などが問題となってきます。また、悪性腫瘍の椎体転移が原因の疼痛は、鎮痛剤によるコントロールが困難なことが多く、放射線照射による治療も疼痛が緩和されるまでには時間がかかる欠点があります。一方、経皮的椎体形成術は侵襲が比較的低く、80〜90%で疼痛緩和が得られると報告されています。治療効果も治療直後から1〜2日後には現れ、3日後までには歩行可能になることが多く、入院期間或いは安静期間の短縮をはかることができます。
経皮的椎体形成術後の合併症として、骨セメントの骨外漏出による脊髄圧迫、神経圧迫、静脈内漏出に伴う肺塞栓、骨セメント投与に伴うショック、感染症などが報告されていますが、臨床的に問題となるような合併症はまれで、骨粗鬆症では約1.3%と報告されています。
当センターでは2005年より開始し、現在までに延べ約240例に行っています。症例の内訳は、8割以上が骨粗鬆症に伴う骨折で、転移などの腫瘍に伴う骨折は2割弱です。治療成績は、約85%で疼痛の緩和が得られています。現在まで重篤な合併症は経験していません。
週1回(水曜日午前)放射線科において椎体形成術外来を開いています。外来で問診並びに診察の上、単純X線撮影やMRIを行い、経皮的椎体形成術の適応を判断しています。適応症例では、月曜日入院、火曜日経皮的椎体形成術、水曜日経過観察、木曜日退院(または、水曜日入院、土曜日退院)の3泊4日のスケジュールで行っています。
地域医療連携係までご連絡いただき、水曜日午前に外来予約をお取りください。受診の際、単純X線写真やMRIなどの画像があれば持参させてください。