放射線治療を始めて受けられる患者さんは、放射線治療というものが一体どのようにして行われているか、とてもお気になさっているかと思います。ここではそれを順に追って、ご説明致します。

 

他の病院や他の診療科から放射線治療部にご紹介された場合や、ご自分で放射線治療をお求めになって来診された患者さんは、まず放射線治療外来での診察となります。患者さんの病気の経過を把握し、本当に放射線治療が患者さんの病気の治療に役に立つかどうか決定します。また、放射線治療に耐えられるだけの体力がおありかどうか、を把握する必要があります。そのために全身の診察を行い、病気の広がりなどを診断します。今まで診察されていた科でもお話されたことを、繰り返してお聞きすることがあります。正確な病状の把握のためですのでご協力をお願いいたします。それまでの検査で足りないものがあるときは、適宜追加させていただくこともございます。

 

放射線治療を施行することを決定した場合、日を改めてシミュレーションの予約を致します。シミュレーションではX線透視やCTを用いて、がん病巣を画像で確認しながらどのように放射線を照射するかを決定します。放射線治療は毎日全く同じように、同じ箇所に放射線を照射することが必要です。今日と明日で放射線の照射の箇所が違うと、直るものも直らなくなってしまいます。

放射線治療は通常あおむけで行いますが、毎日正しく放射線を照射するためには毎日同じように仰向けに寝て頂くことが必要です。そのために補助具を作成させて頂いた上で、シミュレーションをすることがあります。放射線を照射する範囲が決まりましたら体の前面、左右面にマジックインクなどで印をつけさせていただきます(マーキングといいます。図1)。この印は毎日同じように寝て頂き、正しく放射線を照射するための指標となる大切なものです。水に濡れた程度では落ちることはありませんのでお風呂に入ることはかまいませんが、強くこすったり拭いたりして消さないでください。マーキングが終わりましたら治療計画は終了です。放射線治療開始日の予約をいたしますので、指定の日にご来院ください。

1 放射線が照射される部位はシミュレーションで決定され、皮膚にマーキングが施されます。

 

シミュレーションで撮影した患者さんのX線写真やCT画像から、がんの正確な位置を割り出してどのように放射線を照射するのが最適かを、コンピュータで検討します。患者さんの体内解剖を3次元的に再構成し、出来る限り副作用を生じさせない放射線治療方法を計画します。放射線治療医と診療放射線技師の共同作業で、患者さん個別に最適な治療法を考えます。

  

実際の放射線治療は、リニアック(図3)またはマイクロトロンで施行され、週4回もしくは週5回で施行されることが殆どです。原発部位によっては1日2回、朝と夕に放射線治療が施行されることがあります(多分割照射)。

放射線治療に用いられる放射線は、X線と電子線です。患者さんの体格や体表面からのがんの深さにより、数種類のエネルギーを使い分ける必要があります。このX線と電子線を出す装置として、当施設で用いているのはマイクロトロンおよびリニアックですが両方とも非常に大きな装置です。1回の放射線治療では2グレイから3グレイ程度の放射線が投与されるのが普通です。グレイ(Gy)とは放射線の単位です。その放射線を照射するのに必要な時間は1〜2分程度ですが、患者さんをいつも同じ体位で放射線治療するために、体表面のマーキングを正確に合わせる必要があり、全体で10分程度の時間が必要となります。外来の患者さんは、できるだけ脱・着衣しやすい服装でおいでください。

放射線治療のみでがんを治癒させるためには週5回(もしくは週4回)放射線治療を行い、おおよそ6週間以上の治療期間を必要とします。遠方の患者さんで通院が難しい場合や体力的に毎日の通院が難しい場合、抗がん剤投与も必要な場合には入院をして頂いております。

図3 リニアック

実際に放射線治療が施行されているところです。

両手を挙上して放射線治療を行うための補助具を使用しています。