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原体照射ではいびつな形をした腫瘍の形に合わせて、リニアック(治療装置)の照射する範囲(照射野)の形をコンピュータ制御で常に変化させて、腫瘍に集中した放射線の投与が可能な照射法です。
原体照射を更に精巧にした照射法がIMRTです。通常の放射線治療では照射野内の放射線強度は一定です。しかしIMRTでは放射線の照射中に、照射野(範囲)の形と照射野内の放射線強度を異なるように設定し、腫瘍に集中した、かつ放射線を照射したくない臓器がなるべく照射されないような線量分布が得られます。特に凹んだ形の腫瘍に対して凹んだ形で放射線を投与することが可能です。前立腺がんや耳鼻科領域のがんに応用されることが多い照射法です。
定位的放射線治療では、がんに対してすべての方向から腫瘍に集中させて放射線を投与します。そのためがんへの放射線集中は格段に向上します。また体全体を安易に動かないように固定すると、がんの体内位置における動きがなくなり放射線の狙いがより正確になります。がんへの放射線集中性と、放射線投与の精度の両者を向上させた治療が定位的放射線治療です。歴史的には「ガンマナイフ」といわれる放射線治療装置により、初めて可能となった治療法です。ガンマナイフでは、放射性コバルトの200個以上の小さな放射性線源がヘルメットのふちに球状に並ぶように配置されています。それらの線源は、ヘルメットの中心の1点(焦点)のみに向かって放射線(γ線)を放出するようになっています。その焦点にがんを合わせるように患者さんの頭部を固定すれば、がんに限局して集中した線量分布が得られます。このような定位的放射線治療により、通常の放射線治療では不可能だったような(大量の)線量投与が、放射線による副作用なく可能であることが実証され、結果、脳腫瘍の局所制御率向上が認められています。その際、頭部の固定には局所麻酔下に、頭蓋骨に4本のピンを刺して全く頭部を動かないように治療台に固定します。しかしガンマナイフではその装置特性から、頭部(頭蓋内)の腫瘍しか治療はできません。
近年の治療装置機器は日進月歩ともいえる進歩により、ガンマナイフと同様の治療がリニアックなどでも施行可能になってきました。その場合もガンマナイフと同様に、局所麻酔下で4本のピンを頭蓋骨に固定して頭部を動かないようにします。当科では前述のピンを刺す方法の他、歯の噛み合わせを利用した固定方法も用いています。ピンを刺す方法に比べて、非観血的に施行可能でしかも固定精度もピンを刺す方法に劣りません。 当科における頭部の定位的放射線治療は、1992年以来10年を越す実績をもち、原発性脳腫瘍、転移性脳腫瘍、脳動静脈奇形などに積極的に施行しています。
脳腫瘍の場合は頭蓋骨をしっかり固定することにより、脳腫瘍へ放射線集中性を正確にすることが可能ですが、肺がんや肝がんなど体幹部では体位固定が難しいこと、(呼吸など)生理的運動によりがんが可動な(動く)ために放射線の狙いを定めることが非常に困難で、これまでは定位的な放射線治療施行は不可能でした。
当科では、1991年から肺がんや肝がんに対する定位的放射線治療装置の開発を行ってきました。体位固定には、頭部から下肢におよぶ各患者さん専用固定(補助)具を作成し、治療計画から実際の治療までその専用固定(補助)具に寝て頂いた状態で行います。また呼吸をモニタ(観察)させて頂き、全呼吸位相のうち一定の相(息を吐いている時だけ、など)でのみ、放射線の照射を行う「呼吸同期放射線治療」を組み合わせることにより、肺がんや肝がんに対する定位的放射線治療を可能といたしました。定位的放射線治療の適応となる腫瘍の大きさは4cm以下の腫瘍です。放射線による副作用は殆ど無いため、外来での施行が可能です。
患者さんは、個別に作成した固定ベッドの上にのって治療を受けて頂きます。赤矢印は呼吸を観察する装置です。息を吐いたときだけ放射線を照射するように設定しています。緑矢印は定位的放射線治療装置の一部を示しています。この治療装置が患者さんの周囲を回転しながら放射線治療を行います。
腹部リンパ節を定位的放射線治療で治療しました。右画像の赤印は腫瘍を示します。真中の画像は、放射線が腫瘍に集中的に投与される線量分布を表します。右画像はわずか3回の定位的放射線治療後ですが、腫瘍が消失しているのがわかります。
左画像は治療前の肺腫瘍(赤印)です。右画像はわずか1回の定位的放射線治療後の画像です。完全に腫瘍は消失しているのがわかります。放射線による合併症もありません。
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