国立国際医療研究センター病院長
木村壯介
国立国際医療センターが平成5年に国立高度専門医療センター(NC)に指定された際の趣旨である、「総合的医療を根底に、高度先進医療を実施、国際医療協力に役立てる」という目標は、今日においても益々その意義を思い知らされています。
近年、高齢化に伴い複数の疾病を抱えた患者さんが増加しています。また、医学の進歩による、従来の臓器別・疾患別という枠を越えた病態・疾患概念の変化が指摘されています。このことは、「病気はいくつもの疾病の複合体である」ということと同時に、臓器別・疾患別とは異なる、新たな視点から診療を見直すことが必要であるということを意味していると考えます。
私共は総合病院として30を超す診療科を有していますが、各診療科間の垣根を低くし、また救急・総合診療科という統合的な診療科を配して病院全体としてのチーム医療を重視しています。従来の臓器別・疾患別の取扱いが高度専門領域を追求する「縦糸」とすると、これらを横断的に「横糸」として捉える、感染・炎症・代謝・機能回復等の概念で病態を共有し、関連診療科によるチーム医療を推進することによって、「死角」の無い、患者全体を診る医療を提供することを目指しています。
更に国立国際医療センターは若手の医師・看護師の教育機関でもあります。毎年45余名の初期臨床研修医を引き受け、その育成に当たっていますが、このことは同時に上級生・指導医師のエネルギーの源にもなっています。どの様な社会・組織であっても老練から新人までが揃っていることが、その組織が健全であり、底力があり、良い医療を提供することに通じると考え、臨床研修医師と共に患者さんに最適の医療を提供することを第一に、日々の診療に当たっています。同じ国立国際医療センター内の組織である研究所、国際医療協力局、看護大学校、そして国府台病院との交流も活発で、教育、臨床研究、国際協力を通して、将来の良き医療人を育てる組織でありたいと努力を続ける覚悟です。