学会発表
10.9〜10.10 2004
CRC業務における臨床検査技師の果たす役割 in Yamaguchi
独立行政法人国立国際医療研究センター 治験管理室&臨床検査部 ○和田裕美 加藤裕芳 吉田メイ子 吉野信次 岡崎修 上村直実&田中司
はじめに

当センター治験管理室は、平成14年度よりデータの信頼性の確保を目的に臨床検査技師1名を配置し、薬剤師4名、看護師3名とともにCRC業務を行ってきた。多くの治験において、臨床検査データは適格性の確認、安全性及び有効性の評価に使用される。臨床検査は生化学、血液学的検査等の検体検査から心電図、呼吸機能検査等の生理機能検査など広範囲である。また、検査データの信頼性は検査室での分析誤差に関する事だけではなく検体の採取、搬送、処理、保存、患者の状況、生理的変動など様々な要素が関係してくる。治験における実施の基準を遵守し、さらに質の高いデータを得るために臨床検査技CRCとして行っている治験における臨床検査データ管理業務について報告する。



基本となるCRC業務

基本的な右記のCRC業務は各プロトコルごとに薬剤師、看護師、臨床検査技師CRCがチームを組んで担当する。各課題における準備、患者対応、直接閲覧対応等の基本となるCRC業務を職種に関係なく行っている。

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●ヒアリング
●リクルート・スクリーニング
●インフォームド・コンセントの補助
●被験者対応
●スケジュール管理

●関連部署との連絡調整
●症例報告書の作成
●モニタリング・監査対応
●原資料・必須文書の保管



専門性を活かしたCRC業務

各CRCの職種の専門性を生かした業務を行うことにより高い信頼性、円滑な治験の遂行を目指す。
臨床検査技師の専門性を生かしたCRC業務を次の5項目にまとめてみた。



1.臨床検査部門との連携

検査部門のシステム、運用は各医療機関でさまざまである。臨床検査部との窓口となり、
各治験のプロトコルの求めている情報を検査部門に伝えどのような調整が必要であるか綿密な打ち合わせを行う。
治験に関する情報を提供し充分に理解してもらい、日常業務への負担を軽減した方法を協議する事により協力体制が整い逸脱やトラブルの無い治験を進める事ができる。

検査当直者マニュアルと検体添付用紙

検査当直者マニュアルと検体添付用紙

★ 夜間・休日対応
心筋梗塞や脳塞栓症を対象とする治験ではエントリー時の検査が夜間休日に出る可能性がある。通常の夜間休日には行っていない検査を実施してもらう場合検査当直者が迷わずに対応ができるようなマニュアルを準備する。

★ 生理機能検査
● 心電図測定時の安静時間、測定時間の指定などの基準が設定されている場合がある。担当部署への説明とマニュアル、検査予定日時の事前連絡を行う。
● 依頼者指定の測定機器使用による呼吸機能検査の場合。
測定機器の搬入と担当者との調整を行う。


★ 微生物検査
● 院内検査の結果により指定の集中検査機関に起因菌を分離提出する場合がある。結果報告後検体は速やかに破棄される為オーダーコメントを入力するとともに事前に検査室に連絡を入れると確実に実行できる

乳酸検体処理の説明書

乳酸検体処理の説明書

★ 特殊な検体処理・保管
● 通常のルーチンでは行っていないアンモニアや乳酸の除蛋白操作や迅速処理が必要な項目がある場合の対応を確認する。
専用ピペット、試薬の準備、操作法の確認
事例:指定の操作法では良好な除蛋白上清が得られずコンタミを生じた→倍量、遠心分離をダブルにする事により解決



2.治験依頼者との調整

プロトコルだけでは確認できない事項がある。また通常診療では問題とならないことが除外基準に抵触したり、異常変動ととられることがあるため、開始前にいろいろな状況を想定して確認することが必要である。
★ 臨床検査の内容・方法等についての打ち合わせ
★ 集中検査機関との打ち合わせ
採取・分注容器が適当であるか、検査伝票への記載法、回収、報告方法等
★ 院内検査基準値表作成

検査伝票と採取・分注容器

検査伝票と
採取・分注容器



3.治験責任医師への協力

★ 各治験の検査項目のオーダリングセット作成
採取ポイントによって検査項目の異なるもの等、間違いなく入力できるよう確認を行う。
★ 検査情報の提供
★ 検体採取のうち合わせ
当センターは入院患者の採血は医師が行っているため採血ポイント、外注容器の準備等のうち合わせを行う。

検査セット登録画面・治験検査セット画面

検査セット登録画面

治験検査セット画面



検査情報の提供
検査情報の提供



4.他職種CRCへの助言

★ 臨床検査に関する情報提供
● 臨床検査部門の窓口となる
検査部門のシステムについて
検体の採取・提出方法
検査項目名称・検査法・基準値・単位に関する事
検査データの見解について
● トラブル発生時の対応
測定不能コメント、異常データ、オーダーもれ等原因の究明、問題処理、対策をたてる。

● 院内検査と外注検査データについてチェック
通常院内検査項目の外注測定は行わないため、治験開始前にデータの相関関係は基準値等から推測している。

院内検査と外注検査の相関
院内検査と外注検査の相関



5.被験者への負担軽減

★ 治験関連検査の補助
必要に応じ採血・尿素呼気テスト
心電図・呼吸機能検査等の実施。
被験者の時間的負担軽減の為に優先して検査を実施することができる。
★ 検査方法・検査結果に関する補助説明
治験に参加する方は特に検査情報に関心があり自己管理を行っている場合が多い。



被験者への説明
被験者への説明

採血直後の検体処理操作
採血直後の検体処理操作




考察

治験における臨床検査データの信頼性が、治験薬の効果及び安全性の評価に与える影響は大きい。
治験では通常診療とは異なる臨床検査の規準が設定されている場合が多くみられ、それらについて専門性を持って指摘できる。そのため、治験における検査の実施には各部署との連携が重要である。

● 治験に関する理解と協力を得るためには、各部署の状況と治験での必要条件を充分に確認しあい運用を決めていくようにする。
● 見やすい形式の検査マニュアルを作成することにより逸脱を防止する。また、被験者は検査に関する情報を求めているので検査データに関するパンフレットの作成を検討中である。
臨床検査技師がプロトコルの作成段階から関与することも必要であると思われる。



まとめ

今後、多くの臨床検査技師が治験に参画することにより臨床検査情報・データ管理が充実し、治験の精度と信頼性の向上が得られると思われる。これらの点から多くの臨床検査技師の治験の関与が必要であることを感じた。







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 独立行政法人国立国際医療研究センター/治験管理室 National Center for Global Health and Medicine / Clinical Trial Management Office

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