学会発表
9.23〜9.26 2004
第13回 SoCRA Annual Meeting 参加報告 in Montreal
独立行政法人国立国際医療研究センター 治験管理室
モントリオールの旧市街
はじめに

第13回 SoCRA Annual Meetingが2004年9月23日〜26日の4日間、カナダのモントリオールで開催された。この年会にポスター発表し、4日間に渡るセミナーに参加してきた。
この年会はSoCRA(Society of Clinical Research Associates)が毎年この時期に開催しており、今年も約700人の参加があった。ほとんどが米国、カナダからの参加で、日本からは当センター3名を含む10名の参加であった。当センターは昨年からの参加であり、今回はポスターを2題「Financial disclosure in Japanese Clinical Research」「Clinical trial patient recruitment and evaluation in National Center for Global Health and Medicine」を発表した。ポスター発表は約30題で開催中はセミナーの合間に熱心な意見交換がされた。
セミナー1日目はプレカンファレンスセミナーとして、『GCPとFDA監査』『IRB規則と手順』『プレゼンテーションスキル』『プロジェクトマネージメント』『CRCワークショップ』『SOPワークショップ』の6種類の中から事前申し込みをして参加した。
2日目の24日午前と最終日の26日は、参加者全員が同じセミナーを受講し、24日の午後と25日終日は、4グループに分かれ、『プロジェクトマネージメント』『医療機関側の業務』『テクノロジー』『安全性』『医療機器治験』『モニタリング』『データマネジメント』『治験での倫理』『患者登録』等に関するセミナーが、30〜45分刻みのスケジュールで組まれていた。合計77題が発表され、活発な討議が繰り広げられていた。以下、その内容を一部紹介したい。


モントリオール市内 開会式

モントリオール市内

開会式




プレカンファレンスセミナー

CRCワークショップ

GCPとFDA監査準備

治験の全過程についての基本的な講義であった。新人CRCが対象のようであり、『治験とは何か?』『医薬品の開発のための各相のデザイン説明』から、『CRCが必要とする知識や役割について』の説明がなされた。

『FDAの組織と歴史』『薬の開発の過程』『GCP説明』『治験責任医師の役割』『承認申請時の書類』の説明が続き、最後に『FDA監査での指摘事項』の内容であった。




セミナー

FDA監査でよくある指摘事項についての講義があった。講義では本当にCRCが関与していたのかと思えるような事例もあり、具体的には「治験協力者として登録されていないナースが治験薬を管理していた。」「Day0とDay14と点滴中は毎日バイタルを測定しなければならないのに、Day0の体温測定しか実施されていなかった(データの欠損)」「データの捏造があった」「同意書の紛失」「採血結果やレントゲン写真のコピーが、別の被験者のデータだった。」「スポンサーがFDAに提出した申請書類の中に、別の治験データが入っていた」といった指摘事項があげられていた。
現在日本ではNCI-CTC(国立がん研究所の共通毒性基準)Ver.2であるが、今回、NCI(国立がん研究所)のAnn氏より、NCI-CTCのVer.3の紹介があった。

テクノロジー関連のシンポジウムでは30カ国語の言語が使用可能で署名やVAS.QOLも手書きで入力できるPDAの紹介があった。
医師主導型臨床試験のQA監査のシンポジウムではアリゾナ大学がんセンターにおける医師主導型臨床試験での監査についての報告があった。院内にはDSMB(データと安全性をモニタリングする委員会)があり、構成員は、3人のがん専門医、DSMBコーディネーター、薬学者、生物学者、マネージャー、リサーチナース、臨床研究薬剤師、データマネージャー等である。このDSMBが院内の医師主導型臨床研究の監査を行っている。院内の監査委員会があり、実際監査しているという状況はさすがにすすんでいる。今後日本も医師主導型臨床試験が進んでいく過程で、その様な監査体制の整備をしていく必要性があると考える。


参加した治験管理室スタッフとSoCRA本部の役員

ポスター発表

ランチタイムの間も活発な討論が続く

参加した治験管理室スタッフとSoCRA本部の役員 ポスター発表 ランチタイムの間も活発な討論が続く
モーニングの様子 セミナーの様子

モーニングの様子

セミナーの様子




所感

日本では、米国の治験やCRC業務はとても進んでいるという印象を抱いてしまうものだが、実際FDAやNIHの監査での逸脱事例などを聞いていると、確かにCRC導入は日本では遅かったかもしれないが、治験の質については、日本が大変遅れているわけではないと感じた。(まだスピードは遅いかもしれないが)。今後、語学力をつけて、日本の治験の現状をどんどん海外にも伝え、率直な意見交換ができるとお互いにとって治験の推進に貢献できると感じた。
今回私達が訪れたモントリオールは、石畳と中世の建設様式の教会など古いフランス風の街並みと近代的な建物が共存する美しい街であった。紅葉には少し早かったが、山の方の木々は色づきはじめ、すばらしい景色が広がっていた。セミナーの内容は盛りだくさんで集中して受けていたが、時間外はゆったりとした時間がもてたように思う。

また、会議の後、岡崎医師が約10年前にAHAの学会でジピリダモール負荷試験の共同研究で主催されたモントリオール大学教授との再会もあり、思いがけず楽しい時を過ごすことができた。日本のみならず海外のCRCとも医薬品開発に関しての共同研究できるようになれば、すばらしいことだと思った。

今回、SoCRAに参加させていただき、「米国ではCRCが治験に対して、どのように取り組んでいるのか」「治験に関してどの様なセミナーを開催しているのか」ということを学ぶことができました。
ご協力いただきました関係者の方々に深く感謝いたします。



ジャック・カルティエ広場(Place Jaques Cartier)から見たモントリオール市庁舎




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 独立行政法人国立国際医療研究センター/治験管理室 National Center for Global Health and Medicine / Clinical Trial Management Office

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