学会発表
9.6〜9.9 2003
第63回 FIP (国際薬剤師・薬学会議)参加報告 in Sydney
独立行政法人国立国際医療研究センター 治験管理室
はじめに

第63回国際薬剤師・薬学連合会議が、2003年9月6日(土)〜9日(火)の日程でオーストラリア・シドニーで開催された。この国際会議は、国際薬学連合(FIP:The International Pharmaceutical Federation)が主催するもので、薬剤師、薬学関連の国際会議である。
会議が開かれたシドニーの季節は春先で、朝晩は肌寒いわりに、日中は日射しも強く汗ばむこともあったが、とても過ごしやすい気候であった。
参加者名簿を見ると、オーストラリアから約200名、デンマーク約160名、日本約100名、台湾約100名、アメリカ約80名、イギリス約60名、オランダ、フィンランド、フランス、ドイツ、ナイジェリア、ポルトガル、スロベニア、韓国、インド、スウェーデンから各30〜50名ずつ、その他少数ながらさまざまな国から計75カ国の参加があった。
今までのオフィシャルの同時通訳は、フランス語とスペイン語であったが、今回は、薬剤師職能部門のシンポジウムに日本語の同時通訳も導入された。
また、9月6日〜8日の3日間のポスターセッションでは、今回発表した演題(THE ROLE OF PHARMACISTS IN IMPROVEMENT OF QUALITY AND EFFICIENCY ON CLINICAL TRIAL)に対しての質問に対応した。




第63回国際薬剤師・薬学会議の概要

今回の会議は、『Developing a new contract between Pharmacy and Society(Risk management and improving)というメインテーマであった。会議の構成は、Board of Pharmaceutical Science(BPS)とBoard of Pharmaceutical Practice(BPP)に大別され、基礎薬学の研究分野と薬剤師の実務的な分野を統合した学会である。4日間、この研究分野と実務分野でメインシンポジウムが行われ、合間にセクションプログラムとして、

“Academic Pharmacy”“Administrative Pharmacy”“Clinical Biology”“Community pharmacy”“Hospital Pharmacy”“Industrial Pharmacy”“Laboratories and Medicines control services”“Medicinal and Aromatic plants”“Military and Emergency Pharmacy”“Pharmacy Information”といった各分野のミニシンポジウムが行われた。私たちは、この中でBPP主催のシンポジウムに参加した。



BPP主催のシンポジウムにて 会場となったシドニーの街角で

BPP主催のシンポジウムにて

会場となったシドニーの街角で




シンポジウム

BPPのシンポジウムでは、患者中心の薬剤師業務、患者とのコミュニケーションを中心とした内容であった。
シンポジウムはアメリカ薬剤師会(ASHP)の薬剤師からの「薬剤師は『調合師』という役割だけで良いと思っていてはいけない。変革していかないと世間は薬剤師がいなくてもよいと思ってしまう」という内容の講演で始まった。
各国の薬剤師から下記の内容のシンポジウムがあった。
[FIPの情報部会(オランダ)のHan de Gier氏 ]
医療は患者を中心に提供すべきで、時には患者の個性を尊重することも重要である。これらは薬剤師の業務を超えていることもあるが、患者のニーズに応えなければいけない。また、ただ情報を与えるだけではなく、ある程度患者の状況を把握し、情報提供もコントロールしなければならない。
[台湾のMei-Ling Hsiao氏]
開局薬剤師はビジネスに走りがちであるが、『何でも屋』ではなく、プロ意識をもって行うべきである。
[フィンランドの大学の薬剤師]
薬剤師は患者と良いコミュニケーションをとらなければならないが、それに関するプログラムがあまり発達していない。薬剤師と患者の典型的な会話では、薬剤師は質問をしても、その患者からの返事からどのように対応すべきかを学んでいないので、患者が情報を求めてもそれに応じきれない場合が多い。患者さん中心の薬物治療をどのようなプログラムで開発していくべきなのか。それらは薬剤師自身が開発していかなければならない。

[オーストラリア薬剤師会]
開局薬剤師を対象としたトレーニングの紹介があった。
これはPseudo-Patron Methodと呼ばれる模擬患者による薬局訪問トレーニングというものであった。模擬患者が薬を購入し、その後薬局の外で教員に接客対応等を報告、教員が薬局にアドバイスをするというトレーニング方法である。模擬患者が薬局で薬を購入後教員が入っていくまでの時間はわずか10分程度であり、フィードバックは即時に行われるとのことであった。
[イギリスの薬剤師]
『薬剤師は何をすべきか、患者のプロフィールを熟知し、必要なら低コストになるようにすべきである。また、知っているだけでは不十分、やる気だけがあっても不十分、実行しないといけない。』という言葉から始まるエラー、ミスに関する講演であった。薬剤投与の10%、件数としては1年に850,000件の有害事象が起こっている。KCL投与に関しては、薬剤師が関与することによりミスが27%減少したとの報告であった。同じメーカーの薬剤の場合、パッケージが似ており、他剤と区別がつかないパッケージが多い。イギリスの場合は、似たようなパッケージは禁止となっている。薬剤のパッケージ・ラベルを研究していくことが望ましい。
その他、シンガポール航空マネージャーから航空会社の視点からのサービスというユニークなシンポジウムもあった。




ポスターセッション

各国から多くの参加があったポスターセッションでは、ポスターを一枚刷りにしたり、写真や色彩豊かな図表を用いて注目を集めるような様々な工夫がなされていた。私たちは、病院薬剤師部門のブースにエントリーし、日本から参加している薬剤師やプレスの方々との意見交換や、海外の方からの『CRC業務に薬剤師が関与しているのですか?』といった質問も受け、興味深い旨の感想をいただいた。

ポスター紹介ページへポスターセッション

発表したポスターの前にて、質疑応答や意見交換を行なう
独立行政法人国立国際医療研究センター 治験管理室のスタッフ

独立行政法人国立国際医療研究センター 治験管理室のスタッフ
独立行政法人国立国際医療研究センター 治験管理室のスタッフ 独立行政法人国立国際医療研究センター 治験管理室のスタッフ



最後に

ウェルカム・レセプション
ウェルカム・レセプションでは
世界各国の薬剤師の方々とも交流

今回、海外の学会に初めて参加し、初日(9月5日)のウェルカム・レセプションでは、海外の薬剤師の方々ともコミュニケーションをとることができ(つたない英語であったが)、よい経験をさせていただきました。またポスター発表では薬剤師が関与するCRC業務等について外国の方々に理解していただくこともでき有意義な学会となりました。
初日は、学会参加費の振り込みが確認できないというトラブルもありましたが、どうにか無事に帰国することができました。
ご協力いただいた関係者の方々に深く感謝いたします。

以上 




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 独立行政法人国立国際医療研究センター/治験管理室 National Center for Global Health and Medicine / Clinical Trial Management Office

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