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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についてNCGMが発表した学術論文

NCGMはCOVID-19対応にあたるほか、学術論文を発表することによって、COVID-19対応を通じて得た経験や研究成果を、人類共有の財産として蓄積・継承してまいります。このページでは、NCGM職員が筆頭著者または責任著者である掲載済み論文について紹介しています(editorialを除く)。
2021年1月20日現在、64報を掲載しています。

▼2021年1月掲載

COVID-19肺炎の回復期にも血痰やブラ形成が起こりうる<NEW>

COVID-19の主な症状は発熱や咳嗽であり、両側の胸膜直下に広がるすりガラス影が一般的な胸部CT所見として報告されている。本論文では発熱や咳などの症状が改善したCOVID-19肺炎の回復期に血痰が生じ、CT検査で新たなブラ形成を指摘された症例を報告した。臨床経過や検査所見から急性期に生じた肺胞障害が血痰やブラ形成の原因である可能性が高いと考えた。肺胞障害の回復期にも血痰やブラを原因とした気胸などの合併症がおこる可能性があるため、肺胞障害を示唆する所見があった症例については、症状改善後も経過観察が必要である。

Sato L, Kinoshita N, Nakamoto T, Ohmagari N.
  Hemoptysis and a Newly Formed Lung Bulla in a Case of Convalescent COVID-19 Pneumonia.
Intern Med. 2021.
https://doi.org/10.2169/internalmedicine.5684-20
(2021/1/15)

▼2020年12月掲載

COVID-19に対する迅速抗原検査の有用性:感染性についての予測因子<NEW>

迅速抗原検査は安価で、必要なリソースが少ない検査であるが、検討数がそれほど多くなく、感度についての議論が残っている。また病早期には感度が高いが、その特性を利用して感染性の予測因子として用いることができないかを検討した。RT-qPCRの結果を対照として、迅速抗原検査は病早期ならば比較的高い一致率(κ 0.5)をもち、特にコピー数が高い検体(1000コピー/アッセイ感染研法)であればかなり一致率が高かった(κ>0.8)。結果が乖離しやすい状況は発熱がないか、ウイルス増殖をおさえ得る薬剤の使用に関わっていた。迅速抗原陰性の結果は、多変量解析の結果、平熱、病日が11日以降、つまり隔離解除可能な状況に対する予測因子となる可能性があった。

Yamamoto K, Suzuki M, Yamada G, Sudo T, Nomoto H, Kinoshita N, Nakamura K, Tsujimoto Y, Kusaba Y, Morita C, Moriya A, Maeda K, Yagi S, Kimura M, Ohmagari N.
  Utility of the antigen test for coronavirus disease 2019: Factors influencing the prediction of the possibility of disease transmission.
International Journal of Infectious Diseases 2020.
https://doi.org/10.1016/j.ijid.2020.12.079
(2020/12/26)

中国・武漢在住邦人のチャーター便による避難がもたらしたCOVID-19流行の予防効果:数理モデル研究<NEW>

日本政府はCOVID-19の流行を受け2020年1月末に武漢市へチャーター便を派遣、邦人566名が帰国した。感染症流行対策としての避難は日本では前例がなく、その効果に関しては議論がなされていないためその効果を算出した。一般的なSIRモデルに報告の遅れや行動変化、無症状者等を追加し流行を記述するモデルを構築し、湖北省と武漢市における感染者数から感染率、報告割合のパラメータを推定した。チャーター便による避難が行われなかった場合、武漢在住邦人の累積患者数は2020年2月8日の時点で25(95%信頼区間20-29)人、2月15日の時点で34(28-40)人に達し、避難が一週間遅れた場合は14人、二週間遅れた場合は23人の患者数増加に繋がると推定された。

Asai Y, Tsuzuki S, Kutsuna S, Hayakawa K, Ohmagari N.
  Effect of evacuation of Japanese residents from Wuhan, China, on preventing transmission of novel coronavirus infection: A modelling study.
J Infect Chemother. 2020.
https://doi.org/10.1016/j.jiac.2020.12.011
(2020/12/16)

COVID-19肺炎へのポリミキシンB固定化繊維カラムを用いた直接血液灌流(PMX-DHP)<NEW>

PMXは、グラム陰性菌感染症に伴う敗血症病態の改善を図る医療機器として認可されている。一方で間質性肺炎の急性増悪に対する肺酸素化能の改善効果も知られている。PMXではエンドトキシン除去以外に、サイトカインストームに関与する炎症性メディエーターのほか、肺組織を直接的に傷害する活性化白血球などの細胞成分の吸着除去も報告されている。そのため、COVID-19肺炎患者に対しても、PMXの炎症低減効果が病態改善に働く可能性が考えられる。今回、我々はいわゆる新型コロナ第1波と言われた時期に、酸素需要のあった12症例に対してPMXを施行した。特徴的な回路凝固の経験や、サイトカインの動態を含めて報告した。

Katagiri D, Ishikane M, Asai Y, Izumi S, Takasaki J, Katsuoka H, Kondo I, Ide S, Nakamura K, Nakamoto T, Nomoto H, Akiyama Y, Miyazato Y, Suzuki T, Kinoshita N, Ogawa T, Togano T, Suzuki M, Hashimoto M, Sakamoto K, Kusaba Y, Katsuno T, Fukaya T, Hojo M, Sugiyama M, Mizokami M, Okamoto T, Kimura A, Noiri E, Ohmagari N, Hinoshita F, Sugiyama H.
  Direct hemoperfusion using a polymyxin B-immobilized polystyrene column for COVID-19.
J Clin Apher. 2020.
https://doi.org/10.1002/jca.21861
(2020/12/15)

入院中のCOVID-19患者に対するフローチャートを用いた眼科コンサルト

COVID-19患者における眼合併症の多くは基本的に視力低下を生じないが、入院患者では診断治療の遅れから重篤な視力低下をきたす眼症状を合併する可能性がある。自然治癒が見込まれる結膜炎や神経内科にコンサルトすべき複視から、重篤な視力低下につながる可能性がある角膜疾患や眼圧上昇など多彩な眼疾患に対し、眼症状やリスクを中心に眼科医にコンサルトすべきタイミングをフローチャートにまとめた。眼科医の常駐しない施設において、またCOVID-19の第三波、第四波、あるいは来たる未知の感染症に対するパンデミックの際にも、このフローチャートは有用と思われる。

Yashiro S, Ueta T, Kutsuna S, Okamoto T, Nagahara M, Ohmagari N.2_2020_GHM_yashiro.jpg
  Using flowchart for ophthalmic consultations in hospitalized patients with COVID-19.
Global Health & Medicine. 2020.
https://doi.org/10.35772/ghm.2020.01091
(2020/12/14)

▼2020年11月掲載

▼2020年10月掲載

▼2020年9月掲載

▼2020年8月掲載

▼2020年7月掲載

▼2020年6月掲載

▼2020年5月掲載

▼2020年4月掲載

▼2020年3月掲載