国立国際医療研究センターについて

独立行政法人国立国際医療研究センター年度計画(平成24年度)

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 平成24年度の業務運営について、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第31条第1項の規定に基づき、独立行政法人国立国際医療研究センターの年度計画を次のとおり定める。

平成24年3月30日

独立行政法人国立国際医療研究センター
理事長 桐野 明

 

第1 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するために取るべき措置

1.研究・開発に関する事項
(1)臨床を志向した研究・開発の推進

@ 研究所と病院等、センター内の連携強化

  • それぞれの専門性を踏まえた上で、情報交換や意見交換を行い、相互の連携を図る。
  • 基礎研究の成果を臨床現場につなげるため、臨床研究センターを中心に、倫理審査、臨床研究相談や、臨床データ・検体の登録、知財管理等行うことで、センターが行う臨床研究支援を切れ目無く提供する。

A 産官学等との連携強化

  • 企業、大学等の研究機関、大規模治験実施医療機関等との連携を図り、共同研究・委託研究を推進するための情報発信を行い、関係業界等との協議の場を設け、連携体制を整備する。
  • 開発初期の臨床研究について、外部機関等との共同研究数を10件以上とする。

B 研究・開発の企画及び評価体制の整備

  • 研究開発費の評価委員会を設置し、企画・評価体制の充実を図る。

C 知的財産の管理強化及び活用推進

  • 職員に対し、知財に関する相談・説明会を開催するとともに、知財に関する相談・管理体制をより充実させ、知財の管理及び活用に関する担当者会議を開催する。
(2)病院における研究・開発の推進

@ 臨床研究機能の強化

  •  臨床研究について、病院内で円滑に実施するための基盤の整備を行う。また、治験申請から症例登録(First patient in)までの期間を平均90日とする。

A 倫理性・透明性の確保

  •  高い倫理性・透明性が確保されるよう臨床研究等については、倫理審査委員会等を適正に運営する。また、職員の研究倫理に関する講習会を開催するとともに、臨床研究の実施に当たっては、患者及び家族に対して十分な説明を行う。
(3)担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進

別紙1参照

2.医療の提供に関する事項
(1)高度先駆的な医療、標準化に資する医療の提供

@ 高度先駆的な医療の提供

  •  HIV・エイズ患者に対し、薬剤耐性や薬剤血中濃度のモニターに基づき、総合医療をベースに個々人の病態に即した医療を年間150例以上提供する。
  •  H5N1鳥インフルエンザ感染を含む新興感染症に対する治療法の開発を推進する。
  •  C型慢性肝炎患者の薬剤感受性に着目したテーラーメイド医療の開発を行う。
  •  糖尿病について生体指標等に依拠した治療を実施する。
  •  センターにおいて実施されている先駆的な医療技術については、先進医療に承認申請を行うことを推進する。

A 医療の標準化を推進するための、最新の科学的根拠に基づいた医療の提供

  •  感染症その他の疾患について、最新の知見を活用しつつ、医療の標準化に資する診療体制を整備し、標準的医療の実践に取り組む。
(2)患者の視点に立った良質かつ安心できる医療の提供

@ 患者の自己決定への支援

  •  患者にとって安心・安全な医療を提供するため、カルテの開示等の情報公開に積極的に取り組む。
  •  患者のプライバシー保護に努めるため、個人情報保護に関する委員会を開催し充実を図る。 
  •  患者に対する相談支援を行う窓口について、支援体制の充実を図る。
  •  セカンドオピニオンを200件以上実施する。

A 患者等参加型医療の推進

  •  患者サービス推進委員会を定期的に開催する。また、患者の視点に立った医療の提供を行うため、平成23年度に実施した患者満足度調査及びその分析結果をもとに、必要なサービスの改善を行うとともに、本年度においても患者満足度調査を実施する。
  •  院内に設置してある意見箱を活用し、患者から生の声をくみ上げ、患者サービスの改善について積極的に推進を図る。
  •  ボランティアの活動による相談支援等を推進し、患者の医療に対する理解の向上に努める。

B チーム医療の推進

  • センターの総合医療の特長を活かして、小児から高齢者までの患者に対し、多職種連携及び診療科横断によるチーム医療を推進する。 具体的には、診療科横断による多職種から構成される院内診療チームが行うカンファレンスを900件以上実施する。

C 入院時から地域ケアを見通した医療の提供

  •  患者に対して切れ目なく適切な医療を提供できるよう、地域の診療所や病院との役割分担を図るとともに、連携を強化し、患者に適した医療機関(かかりつけ医)への紹介を進め、紹介率・逆紹介率の向上を図る。
  •  地域に開かれた研修会や協議会を開催し、情報の共有を図る。
  •  糖尿病について、地域連携パスの活用、紹介及び逆紹介を進める。
  •  自治体や地域の医師会等と小児医療体制について協議を行うとともに、地域の医療機関と協議し、休日夜間の小児救急を実施する。
  •  地元医師会との合同研修会を開催する。

D 医療安全管理体制の充実

  •  センターにおける医療安全管理を確保し、医療事故の未然防止の観点から、発生した医療事故を科学的に検証するとともに、その結果が業務の改善につながる体制を構築する。
  •  院内感染対策のため、院内サーベランスの充実等に積極的に取り組む。
  •  医療安全に対する取組を推進するため、体制の強化を図る。
  •  医療安全研修会・感染症対策研修会を3回以上開催するとともに、医療安全に関するマニュアルを改訂する。

E 客観的指標等を用いた医療の質の評価

  • センターで提供する医療について、客観的指標等を用いた質の評価を行うため、医療の質の評価に関する検討を行う。
(3)その他医療政策の一環として、センターで実施すべき医療の提供

@ 救急医療の提供

  •  三次を含む全科的総合救急医療及び質の高い精神科救急を実施する。
  •  国府台地区において、積極的に重症者を受け入れ、精神科救急病棟入院患者における重症身体合併症率を5%以上とする。

A 国際化に伴い必要となる医療の提供

  • トラベルクリニック等、海外渡航者に対する保健医療の充実を図るとともに、感染症の患者に対する医療提供体制の整備を図る。
3.人材育成に関する事項
(1)リーダーとして活躍できる人材の育成
  •  小児から高齢者までの患者に対する心身を含めた総合医療に携わる専門的人材を育成するため、質の高い研修・人材育成を初期段階から継続的に行うととに、総合的な医療を基盤として、高度先駆的な医療を実践できる人材の育成を図る。
  •  世界的な視野を持ち、トランスレーショナルリサーチを含め、感染症その他の疾患に関する研究の推進を図るために必要な人材を育成する。
(2)モデル的研修・講習の実施
  •  感染症その他の疾患に関する医療の均てん化及び国際保健医療協力の充実等を目的として、医療従事者に対するモデル的な研修プログラムを企画し、次の各種研修会等を実施する。
 

HIV/エイズについては、エイズ拠点病院などの医師・看護師を対象とした研修を4回、専門薬剤師研修を2回以上、歯科研修を3回、短期研修を年1回、首都圏4カ所以上の都県において病院に対する出張研修を各1回、それぞれ開催

 

新興・再興感染症については、輸入感染症に関する一般医師対象講習会、医療従事者対象講習会を各1回、国際感染症セミナーを1回開催

 

肝炎については、肝疾患診療連携拠点病院の医師・看護師・相談員を対象とした研修会を3回以上開催

 

糖尿病については、医療従事者を対象とした研修会を年3回以上開催

 

精神疾患については、児童思春期精神医療専門研修会、精神科心理教育研修会、摂食障害医療専門研修会などを開催

4.医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項
(1)ネットワーク構築の推進
  •  感染症その他の疾患について、センターと都道府県における中核的な医療機関等とのネットワークを構築し、研修会及び協議会を開催し、最新の情報提供を行うとともに、相互に情報交換を行い、それら医療機関と連携して、高度先駆的医療及び標準的医療等の普及を図る。
(2)情報の収集・発信
  •  医療従事者や患者・家族が感染症その他疾患に関して、信頼のおける情報を分りやすく入手できるよう、広く国内外の知見を収集、整理及び評価し、ホームページ等を通じて国民向け・医療機関向けに最新の診断・治療情報等の提供を行う。また、HPアクセス数を、年間1,000万PV以上とする。
5.国への政策提言に関する事項
  •  感染症その他の疾患に関して明らかとなった課題の解決策等について、科学的見地から専門的提言を行う。
6.その他我が国の医療政策の推進等に関する事項
(1)公衆衛生上の重大な危害への対応
  •  国の要請に応じて、国内外の公衆衛生上重大な危害が発生し又は発生しようとしている場合には、迅速かつ適切な対応を行う。またそのような事態に対する準備として災害訓練を実施する。さらに、新感染症の発生に向けた訓練を1回実施する。
  •  東北地方太平洋沖地震に伴う被災地への保健衛生分野の復興支援を行う。
(2)国際貢献
  •  アジア、アフリカ等の開発途上国における保健システム(母子保健、感染症対策等を含む)の強化を図るため、専門家を派遣する。
  •  アジア、アフリカ等の開発途上国からの研修生の受入を積極的に行う。
  •  国際協力機構(JICA)の要請に応じて、緊急援助等の支援活動を行う。
  •  国際機関、国際協力機構(JICA)等の依頼に応じて、調査研究・評価事業を実施する。
  •  国際保健に関して、広く国民及び国内外の関係機関に対しホームページ等を通じ情報提供等を行うとともに、基礎講座を開催し国際保健に関する知識の普及を図る。
  •  我が国の国際保健医療協力人材を養成するため、研修カリキュラムを作成するとともに、国際保健人材養成研修を実施する。
  •  ベトナム・バックマイ病院との協定締結に基づき共同研究等を推進する。
  •  WHO協力センターとしての活動を実施する。
(3)HIV・エイズ
  • HIV・エイズに関し、診断及び治療、臨床研究、診療に関する相談、技術者の研修並びに情報の収集及び提供を行う。また、HIV・エイズのブロック拠点病院等を支援するとともに連携を図る。
(4)看護に関する教育及び研究
  •  研究課程部における教育の充実を図るため、高度実践看護学領域(感染管理看護学(仮称))の設置(平成25年4月開講予定)に向けた検討を行うとともに、認定看護師教育課程を1コース、短期研修を4コース開催する。また、オープンキャンパスや公開講座を3回以上開催し、国立看護大学校に関する情報提供を積極的に行う。
  •  臨床看護研究推進センターにおいて、看護研究活動を推進する。

 

第2 業務運営の効率化に関する目標を達成するために取るべき措置

1.効率的な業務運営に関する事項
(1)効率的な業務運営体制
  •  センターとしての使命を適切に果たしていくために、高度先駆的医療や臨床研究の推進などの体制の整備とあわせて、組織の適正化など効率的な業務運営体制を構築する。

@ 副院長複数制の導入

  •  副院長の役割に応じて複数設置し、また、特命事項を担う副院長の設置については、院内における位置付けを引き続き検討する。

A 事務部門の改革

  •  事務部門については、センターの使命を適切に果たすための企画、立案、調整、分析機能の向上及びガバナンスの強化を目指した体制とし、効率的・効果的な運営体制とする。また、戸山地区に一元化した財務・給与業務については、より効率的な体制となるよう業務分担の見直しを引き続き行う。
(2)効率化による収支改善
  •  平成24年度の予定損益計算において、経常収支率が約100%となるよう経営改善に取り組む。また、費用対効果等に着目し適切な事務・事業の見直しを推進する。
  •  無駄削減への取組として、職員一人一人の経営意識の向上を目指した取組を、職員研修等を通じて行う。

@ 給与制度の適正化

  •  給与水準等については、民間等の従業員の給与等を参考に、業務の内容・実績に応じたものとなるよう見直しを行う。

A 材料費の節減

  •  医薬品及び医療材料等の購入に当たっては、材料費率の抑制を図るため、調達方法・契約単価を見直すとともに、在庫管理の効率化等を推進し費用の節減に努める。

B 一般管理費の節減

  • センター内の業務の見直し等により、一般管理費(退職手当を除く。)の経費節減に向けた業務運営体制を目指す。

C 建築コストの適正化

  • 市場単価を導入することにより、建築コストの削減を図り、投資の効率化を図る。

D 収入の確保

  •  医業未収金の新規発生防止の取組を推進し、定期的な支払案内等の督促業務を行い回収に努めるとともに、引き続き法的手段の実施についても検討を進める。
  •  適正な診療報酬請求事務の推進に当たっては、外部ツールによる精度管理を実施するとともに、医師をはじめ委託職員も含めた勉強会を定期的に開催し、院内におけるレセプト点検体制の確立を図る。
2.電子化の推進
(1)電子化の推進による業務の効率化
  •  業務の効率化を図るために職員に対する通報等の文書の電子化を、費用対効果を勘案しつつ取り組むよう努めるとともに、情報セキュリティの向上を図る。
  •  電子カルテシステムの円滑な運用のための具体的な取組を行う。
(2)財務会計システム導入による月次決算の実施
  •  財務会計システム及び経営分析システムを活用し、経営状況の把握、分析、評価が可能な体制とするとともに、電子カルテシステム及び物流システムとの連携を図り、精度を高める体制を構築する。
3.法令遵守等内部統制の適切な構築
  • 法令遵守(コンプライアンス)等の内部統制のため、監査室による内部監査を実施するとともに、監事による業務監査及び会計監査、監査法人による外部監査を実施する。
  •  契約事務については、原則として一般競争入札等によるものとし、競争性、公正性及び透明性が十分確保される方法により実施する。

 

第3 予算、収支計画及び資金計画

1.自己収入の増加に関する事項
  •  民間企業等からの外部資金(寄付や受託研究等)の獲得を推進する。
2.資産及び負債の管理に関する事項
  •  センターの機能の維持・向上を図りつつ、投資を計画的に行い、中・長期的な固定負債(長期借入金の残高)については、運営上適切なものとなるよう大型医療機器等の投資に当たっては、原則、償還確実性を確保する。

(1)予  算 別紙2

(2)収支計画 別紙3

(3)資金計画 別紙4

 

第4 短期借入金の限度額

1.限度額3,400百万円
2.想定される理由
(1)運営費交付金の受入遅延等による資金不足への対応
(2)業績手当(ボーナス)の支給等、資金繰り資金の出費への対応
(3)予定外の退職者の発生に伴う退職手当の支給等、偶発的な出費増への対応

 

第5 重要な財産を処分し、又は担保に供しようとする時はその計画

なし

 

第6 剰余金の使途

 決算において剰余を生じた場合は、将来の投資(建物等の整備・修繕、医療機器等の購入等)及び借入金の償還に充てる。

 

第7 その他主務省令で定める業務運営に関する事項

1.施設・設備整備に関する事項
  • 感染症その他の疾患及び主要な診療科を網羅した総合的な医療提供を目指し、チーム医療を前提とした質の高い全人的な高度専門・総合医療と臨床研究開発の実現に向け、長期的なグランドデザインのもとに医療の高度化、経営改善、患者サービス向上を目指した整備の実施に努める。
2.人事システムの最適化
  •  職員の業績評価制度については、評価結果を踏まえた職員の給与等への反映を実施し、適切な運用を継続する。
  •  国をはじめ民間等との人事交流を行い、組織の活性化を図る。
  •  女性の働きやすい職場を目指し、職員への意見募集を行うなど改善に努める。
  •  医師の本来の役割が発揮できるよう、医師とその他医療従事者との役割分担を見直し、職場環境の整備に努める。
3.人事に関する方針
(1)方針
  •  良質な医療を効率的に提供していくため、医師、看護師等の医療従事者については、医療を取り巻く状況の変化に応じて柔軟に対応するとともに、経営に十分配慮する。特に、二交代制勤務の導入など医師・看護師不足に対する確保対策を引き続き推進するとともに、福利厚生面を充実し離職防止や復職支援の対策を講じる。
  •  幹部職員など専門的な技術を有する者については、公募を基本とし、優秀な人材の確保に努める。
(2)指標
  •  適正な人員配置等により人件費率の抑制に努めるとともに、技能職については、外部委託の推進を図る。
4.その他の事項
  •  センターのミッションを職員一人一人に周知するとともに、月次決算等により進捗状況を確認し問題把握等を行い、定期的に職員の意見を参考に、具体的な行動に移すことができるよう努める。
  •  アクションプランやセンターの成果について、ホームーページ等で情報提供するとともに、積極的な広報活動について実施方法の検討を行う。