2011年8月2日
B型肝炎訴訟については、裁判所の仲介の下、国と全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団との間で和解協議が進められておりましたが、平成23年6月28日に「基本合意書」が締結されました。
今回のB型肝炎訴訟において救済対象となるのは、B型肝炎ウイルスに持続感染されている方のうち、昭和23年から昭和63年までの集団予防接種等における注射器の連続使用により、満7歳になるまでの間に感染したと認定された方であり、集団予防接種等とB型肝炎ウイルス感染との因果関係の認定が必要となります。
そのため、今後、救済を希望される方々については、各地方裁判所に対して、国を相手とする訴訟を提起することが必要となりますが、そのための諸手続きに関する情報提供が
厚生労働省ホームページ上に公開されております。
この中には「様式集」のほか、各種の情報入手方法も掲載されておりますので、ご参考にして下さい。
肝炎情報センター長
正木尚彦
2010年1月7日
2009年9月に当肝炎・免疫研究センターと名古屋市立大学大学院とが共同で研究することにより、C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン+リバビリンの標準的な治療の効果に大きく関係するヒトの遺伝子の型(SNPs:スニップスと読みます)を発見しました。この報告と時期を同じくして、アメリカとオーストラリアの別々のグループからこの遺伝子が同じようにインターフェロンの効きやすさに関係するということが報告されました。
人の遺伝子には個人差として約300個に1個の遺伝子が異なり、この違いがいろいろな病気や薬に対する副作用の出現に大きく関係し、それぞれの個人の体質の違いとなるということがわかってきました。これまでに、糖尿病や脳卒中などの病気になりやすい体質に関係する遺伝子の型が発見されました。
現在、慢性C型肝炎の患者さんがペグインターフェロン+リバビリンという標準的な治療を1年間受けたとしても、ウイルスの量が多いと50%程度の患者さんしか治療が成功しないということがわかっています。今回、私共が新たに発見した遺伝子を調べますと、この治療が効くかどうかということが治療を受ける前に予測することができます。例えば、インターフェロンの治療を受ける前に、効きづらい体質であると判断された方には、現在の治療を受けてもウイルスが排除されるのは非常に難しいということになります(成功率:5-10%程度)。このため、効きづらい体質であると判断された方に関しては、現在の治療を見合わせ、新しい治療薬を待つといった選択を行うことも可能になります。
当肝炎・免疫研究センターでは、研究に参加していただく形でこの遺伝子の型を測定することが可能です。人の遺伝子を取り扱いますので、希望される方には当院を受診していただき、説明を受け同意書に署名していただく必要があります。当病院におきましては、研究補助費を利用して希望される方には無料で測定いたします。可能であれば現在通院中の病医院で紹介状を取得していただき、国府台病院・消化器科を受診していただくようお願い申し上げます。
国府台病院ホームページ: http://www.imcjkohnodai.go.jp/index.html
2009年10月16日
平成20年度の薬害肝炎全国原告団・弁護団との大臣協議を受けて、厚生労働省に肝機能障害の評価に関する検討会が設置され、計7回に亘り検討された結果、「肝機能障害が重症化し、治療による症状の改善が見込めず回復困難になっているものについては身体障害の対象となる」という結論が出されました。これを受けて開催された疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会において別添の認定基準(案)等が了承されたことから、平成22年度より認定基準に該当する場合に身体障害者手帳が交付されるとともに、肝臓移植とこれに伴う医療が公費負担医療制度である自立支援医療(更生医療・育成医療)の対象となる方向で準備が進められています。
対象者は、肝硬変の重症度分類として繁用されているChild-Pugh分類の合計点数10点以上(グレードCに該当)が3ヶ月以上継続していることが前提となりますが、加えて、日常生活活動の制限等に関する項目数等に応じて最も障害程度の重い1級から、最も軽症な4級までの4等級に分類されることになります。肝硬変の原因については、肝炎ウイルスに起因するもの以外も含まれることになっておりますが、特に生活習慣に依存するアルコールに起因するものについては、障害認定を行なう上で留意すること、すなわち、診断時において6ヶ月以上禁酒していることを確認する必要があります。さらに、肝臓移植とこれに伴う医療についても、自立支援医療の対象となり、医療費の自己負担額軽減が図られることになります。特に、移植後に抗免疫療法を必要とする期間は、これを実施しないと肝臓機能が廃絶する危険性があるため、1級として障害認定されることになります。尚、認定のために必要となる診断書・意見書は、身体障害者福祉法第15条指定医、あるいは指定自立支援医療機関が作成したものであることが必要とされており、今後順次、各都道府県、指定都市、中核市においてこれらの指定が行われる予定です。
肝炎情報センター 正木 尚彦
【参考資料】
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部発出(平成21年10月16日付け)全国自治体障害保健福祉主管課あて事務連絡 (PDFファイル・約2.0MB)
B型・C型肝炎患者さんに対するインターフェロン医療費助成事業が平成20年4月から全国規模で展開されているところですが、平成21年度政府予算の成立を受けて、平成21年4月1日から以下の2点について制度の運用変更が行われました。 厚生労働省による発表(平成21年4月1日付け)
1) 自己負担限度額を決める所得階層区分の決定に際し、世帯の実態に応じた、例外的取扱いが可能とされたこと。
2) 一定の要件を満たした場合に、助成期間を最長1年間から1年6ヶ月間に延長することが認められたこと。

| 自己負担額 (上限) | 世帯全体の市町村民税課税年額の合算 | 自己負担限度額(月額) | |
|---|---|---|---|
| 65,000円未満の場合 | ![]() | 10,000円 | |
| 65,000円以上235,000円未満の場合 | ![]() | 30,000円 | |
| 235,000円以上の場合 | ![]() | 50,000円 | |
| 助成期間 | 最長1年間 | ||


| 自己負担額 (上限) | 世帯全体の市町村民税課税年額の合算 (税法上・医療保険上の扶養関係にないと認められる者については、合算対象から除外できる) | 自己負担限度額(月額) | |
|---|---|---|---|
| 65,000円未満の場合 | ![]() | 10,000円 | |
| 65,000円以上235,000円未満の場合 | ![]() | 30,000円 | |
| 235,000円以上の場合 | ![]() | 50,000円 | |
| 助成期間 | 最長1年6ヵ月間まで延長可能(一定の要件を満たした場合に限る) | ||
この2点について、分かりやすくご説明します。
1) これまでは世帯全員の市町村民税課税年額の合算で自己負担限度額が算定されておりましたが、4月からは、受給者及びその配偶者との間に、相互に地方税法上・医療保険上の扶養関係にないと認められる者については、合算対象から除外することが可能になりました。(ただし、除外を希望する者がいる場合には、受給者が各都道府県に対し、その旨の申請を行うことが必要です。)
一例を挙げますと、65歳のC型慢性肝炎の患者さん(市町村民税課税年額が150,000円)が、生計を別にする35歳の息子さんと同居し住民票を一にしている場合には、これまでは息子さんの収入が合算され市町村民税課税年額が310,000円となるので、自己負担限度額は50,000円でした。

今回の改正により、
● 息子さんを課税額の合算対象から除外したい旨の申請書を都道府県に提出し、
● 課税証明書や健康保険証のコピー等により、<患者さん及びその配偶者>と<息子さん>との間に、相互に、地方税法上・医療保険上の扶養関係にないと認められれば、新制度では自己負担限度額が30,000円に軽減されることになります。

この改定は、例えば、息子さん夫婦と二世帯住宅などに同居しているが、生計は全く別である患者さんなどにとってメリットのあるものと思われます。ご自身の状況についてもう一度ご確認ください。
◆ ◆ ◆
2) 2つ目の変更点はC型慢性肝炎患者さんでペグインターフェロンとリバビリンの併用療法を実施している方についての、インターフェロン医療費助成期間の延長に関するものです。
この措置は、インターフェロン治療を受けておられる患者さん全員が対象となるものではなく、以下に示すように、有効性・安全性の面から延長投与の必要性が認められる場合が対象となるものです。以下がその要件となります。
まず第一の要件として、感染しているC型肝炎ウイルスが
●「セログループ1型(遺伝子型は、1a型あるいは1b型になります。わが国では大部分が1b型です)」、かつ、「高ウイルス量(治療開始直前の測定値)」であり、「ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法を実施」していることです。 これまで“難治群”とされてきた組み合わせになります。
さらに第二の要件として、治療開始後のウイルス量の変化がある一定のパターンを満たさねばなりません。すなわち、
●「投与開始12週後にウイルス量が前値の1/100以下には低下するが、陽性であること。(Real time PCR法(非常に鋭敏な方法」で測定)」、しかし、
●その後の治療により、「投与開始36週までに陰性化したこと」が前提になります。
さらに、以上の2つの要件を満たしている場合に、主治医の先生が「プラス24週(トータル72週間)の投与期間延長が望ましい」と判断する場合に限って、72週までの延長投与を認め、助成期間も最長1年6か月まで延長できることになりました。
なぜこのような要件が課されたのか、疑問をお持ちになる方も多いと思います。(その詳細につきましては、肝炎治療戦略会議報告書(平成20年11月14日)(PDF)として公開されておりますので、ご参照いただきたいと思います。)
本来、身体にとって異物である医薬品は、思わぬ副作用を避ける意味でも、治療に必要な最小限の量を投与することが原則です。従って、セログループ1型、高ウイルス量症例では、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法では標準とされる48週で治療を終えることが望ましいことは言うまでもありません。しかし、上記のような“難治群”に対するペグインターフェロンとリバビリンの併用療法(48週投与)による根治率は約50%にとどまっています。その一つの原因が、『インターフェロン治療初期においてC型肝炎ウイルスが陰性化しないものの、その後の治療経過中に陰性化する一部症例(インターフェロン治療に対する反応が遅く現れた患者)』において、標準的な48週投与では治療終了後にかなりの確率で再燃してしまうことにありました。
これらの症例に対して、国内外の複数の医療機関を中心に72週投与が試みられた結果、再燃が明らかに抑制され、その結果根治率が改善することが報告されたのです(48週投与では12.5~33.7%、72週投与では29.0~68.0%)。
そこで、肝疾患の専門家からなる「肝炎治療戦略会議」において慎重に検討された結果、
「C型慢性肝炎ジェノタイプ1b型、高ウイルス量症例へのペグインターフェロンおよびリバビリン併用療法について、インターフェロンに対する反応が遅く現れた患者に対し、投与期間を、48週が標準のところ72週まで延長して投与することは、有効性、安全性の両面から否定されるものではない」ことが確認されました。
但し、治療においては、個人差もあり、投与期間を通じて起こり得る副作用など安全性には十分配慮しながら、慎重に行っていく必要があります。
尚、投与期間延長に関する申請書・診断書は都道府県担当部署のホームページ、肝臓専門医の勤務する病院等から入手可能ですが、ご自身が延長投与のケースに該当するか否かについては、主治医の先生に個別にご確認なさってください。

① セログループ1型かつ高ウイルス量(いわゆる難治群)であり、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法を実施していること
② 投与開始12週後にウイルス量が前値の1/100以下には低下するが、陽性 (Real time PCR法)で、その後の治療により投与開始36週目までに陰性化したこと
③ プラス24週(トータル72週間)の投与期間延長が望ましいと主治医が判断すること