独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター 》 肝炎情報センターについて

独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センターとは?

(1) これまでの国の取り組み

 国がこれまで行ってきた肝炎対策の一つに平成14年度から18年度までの5年間全国規模で展開された節目検診(老人保健事業)、節目外検診があります。これは保健所、老健事業、政府管掌健康保険組合、各種健康保険組合などの検診にB型肝炎・C型肝炎ウイルス検査を導入することで、自覚のないまま放置されている肝炎ウイルスキャリアを発見し、適切な治療を受けていただくことを目的としたものでした。

その実績については厚生労働省による報道発表資料(平成19年10月3日付け)として公開されておりますが、この5年間にC型肝炎ウイルス検診受診者はのべ8,634,509人に達し、うち99,950人(1.16%)が「現在、C型肝炎ウイルスに感染している可能性がきわめて高い」と判定されました。

一方、B型肝炎ウイルス検診受診者はのべ8,704,587人でうち100,983人(1.16%)が「陽性」と判定されています。しかし、その結果が検診受診者に通知されたにもかかわらず、2次精検を目的とした医療機関への受診率は3割程度にとどまったものと推定されており、有効な治療法を受けた患者数は当初期待されたほどではないと考えられます。

その原因については、肝炎ウイルスキャリアと告知された患者さんの肝炎に関する知識が十分ではないこと、どこの病院に行けば確実な診断・治療が受けられるのかという情報不足などのほかに、医療側の問題として、最新の診療ガイドラインが必ずしも全国津々浦々に徹底されていないという現状などが挙げられます。

このような状況を打開するために、平成18年度に厚生労働省全国C型肝炎診療懇談会(座長:久道 茂 宮城県病院事業管理者)において討議された内容をもとに、「都道府県における肝炎検査後肝疾患診療体制に関するガイドライン」が取り纏められました。

このガイドラインでは、都道府県の中で肝疾患の診療ネットワークの中心的な役割を果たす肝疾患診療連携拠点病院を各都道府県につき原則一カ所設置することが盛り込まれました。

具体的には、肝炎についての一般的な医療情報の提供、都道府県の専門医療機関等に関する情報の収集や紹介、医療従事者や地域住民を対象とした研修会や講習会の開催や相談支援等を行い、地域における人材育成を含めた肝疾患診療の均てん化・医療水準の向上を図ることがその役割とされました。

図1 都道府県における肝疾患診療ネットワーク(2007年1月)

 平成23年4月1日現在、北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、静岡,岐阜、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の計47都道府県、70施設が肝疾患診療連携拠点病院の指定を受けています。尚、2次医療圏毎に指定される専門医療機関の資格として、専門的な知識を有する医師による診断と治療方針の決定が可能で、インターフェロンなどの抗ウイルス療法を積極的に行っていること、肝がんの高危険群の同定と早期診断が可能であることなどが求められました。

(2) 肝炎情報センターに求められるもの

 肝炎診療の均てん化・医療水準の向上をさらに全国的に推進するためには、特に情報提供機能について都道府県の肝疾患診療連携拠点病院を支援するシステムが必要であり、その基盤整備が必要です。また、肝炎については国内外で基礎・臨床研究が急速に進行しておりますので、必要な情報を選択しデータベース化すること、定期的な情報のアップデートすることが重要となります。すなわち、正確な情報を広く発信するシステム作りが必要と考えられたわけです。

このような要請に基づき、国の中核医療機関の一つである国立国際医療センター(現 独立行政法人国立国際医療研究センター)に肝炎情報センターを設置することが決定されました。その果たすべき役割として、@肝炎診療に関する情報提供、ホームページの立ち上げ、A肝疾患診療連携拠点病院間の情報共有を支援、B肝疾患診療連携拠点病院等の医療従事者に対する研修会の開催などがあります。

尚、既存の肝炎情報センターと区別するため、正式の名称は「独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター」となります。従って、図2に示しますように肝炎情報センターは都道府県における肝炎検査後肝疾患診療体制を支援するシステムとして活動することになります。

図2 肝炎情報センターの位置づけ
肝炎情報センターの位置づけ図

(3) 肝炎情報センターの組織概要

 図3に示しますように、肝炎情報センターは独立行政法人国立国際医療研究センター 国府台病院に平成20年10月1日付けで設置されました肝炎・免疫研究センターを構成する5つの部門の一つで、肝疾患医療情報室と肝疾患研修室の2つの機能を担うことになります。

図3 肝炎情報センターに係る組織図
肝炎情報センターに係る組織図

 これらの活動を円滑に運用するための組織が肝疾患情報提供検討委員会です。表1は平成22年7月現在の構成委員ですが、委員数は今後の活動状況に応じて増減する可能性があります。

表1 肝疾患情報提供検討委員会構成委員一覧
氏 名所   属
林  紀夫 独立行政法人労働者健康福祉機構 関西ろうさい病院 病院長
熊田 博光 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 分院長
小池 和彦 東京大学 大学院医学系研究科 消化器内科学教授
脇田 隆字 国立感染症研究所 ウイルス第二部部長
田中 純子 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科疫学・疾病制御学講座教授
八橋  弘 独立行政法人 国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター 治療研究部長
泉  並木 武蔵野赤十字病院 副院長
茶山 一彰 広島大学 大学院医歯薬学総合研究科 分子病態制御内科学教授
榎本 信幸 山梨大学 大学院医学工学総合研究部 第一内科教授
溝上 雅史 独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター長
正木 尚彦 独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝炎情報センター長